柏に足りなかったピース。それは、かつて積み上げた“財産”

カテゴリ:Jリーグ

志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

2021年01月05日

ポゼッションの成熟には積み重ねが要る。

アカデミー時代からポゼッションのイロハを叩き込まれた古賀は、ネルシーニョ監督の下で球際も強くなりつつある。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 念押しするとネルシーニョ監督はポゼッションを放棄したわけではない。19年の昇格決定後に「ゴールキックからのスタートで、相手よりも早くポジションを取って、ボールをつなぐならつないでいく。そういうところは、チームとしてトレーニングを含めて多くやってきた」と大谷が述べていたように、早期からビルドアップを強化していた。

 J2なら通用した。J1でも、ホームの仙台戦(〇5-1)などパスで崩せた試合もあった。だが7位に終わったリーグ戦で、格上にはポゼッションを封じられている。ルヴァンカップ決勝でも、後半の立ち上がりはボールを保持する時間が増えたが決定機を作れていないのだから、FC東京に“持たされた”という見方が妥当だろう。

 ポゼッションの成熟には積み重ねが要る。実際に過去のリーグ成績は15年が10位、16年が8位、17年になってようやく4位に浮上した。選手単位のスキルで見ても、長い年月をかけてアカデミー時代からポゼッションを叩き込まれた古賀が、現チームで群を抜いてビルドアップが上手い。幸い、かつて積み上げた“財産”が柏には残っている。

 そして、古賀と同世代のアカデミー育ちである上島拓巳のレンタルバック(福岡から)が決定。一からポゼッションを強化するのは時間がかかるが、“財産”を残しているのはやはりありがたい。最終ラインにビルドアップが上手いCBが加われば、今季に浮き彫りとなった攻め急ぎの課題を克服できる可能性は高まる。

 大混乱に陥った柏を1年でJ1復帰に導き、昇格1年目でリーグ7位&ルヴァンカップ準優勝という結果を残したネルシーニョ監督の手綱捌きは素晴らしかった。最大の変化は球際の強度で、15年から18年と比べて闘える集団に変貌させた。その手腕は確かなものだ。

 足りなかったのはポゼッション。そのイロハ叩き込まれた古賀が特長を残しつつ、ネルシーニョ体制にも適応したように、名将の下で活躍する“財産”が増えれば、来シーズンはまたレベルアップしたサッカーが見れるかもしれない。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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