現状、アジアでベスト4に届いていないという危機感を忘れずに。

「代表を背負う覚悟を一人ひとりが持ち続けていかないといけない」。キャプテンの遠藤がそう語るように、選手個々が危機感を持ちつつ成長できるかがリオデジャネイロ五輪出場の鍵を握りそうだ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)
いずれにせよ、手倉森監督が掲げたテーマ、“引いた相手を破って”はクリアできたが、“点が取れる”のミッションは完遂できなかった。
もっとも、手倉森監督は「2戦目、3戦目は派手な勝ち方ではなかった」と認めつつも、「地味なところでバランス、コントロール力をアジアの中でも身につけさせることができたと思います」と一定の評価を与えている。
相手との実力差を考慮すれば、2戦目、3戦目も大勝できて不思議ではなかったが、中1日の厳しいスケジュールのなか、しっかりと勝ち切るタフさを証明してみせたのも事実だ。「勝たないといけない相手にしっかりと勝つということも、また違った難しさがある」(矢島慎也)。それを体現できたのは収穫のひとつと言っていい。
今予選を通じて、昨年1月のチーム発足以来、2度目の合流となった久保、南野の欧州組とまとまった期間をともに過ごせたのも大きかった。所属クラブとの取り決めで、ともに出場試合数は限られたが(編集部・注/久保は3試合中2試合の出場、南野はベトナム戦までの2試合)、チーム力をひとつ上のレベルに引き上げることを期待されているふたりは、手倉森ジャパンの戦術を身に付けていった。
南野は初戦のマカオ戦、久保は最後のマレーシア戦でそれぞれゴールを決めるなど結果も残してみせた。連係面ではまだまだ不十分な部分はあったにせよ、既存戦力との融合は確実に進み、チームの総合力は高まったと言えるだろう。
また、『鈴木のワントップ+久保のトップ下』など、欧州組の存在によってオプションが増えたのは間違いない。来年1月の最終予選も、今回と同じように集中開催となる。それだけに手倉森監督は「組み合わせをいくつも持っておくのと、代えが利くようなチーム作りが絶対に必要」と準備を進めている。
最終予選はおそらく中2日でのスケジュールが予想されるが、連戦を乗り切るためにも、「レギュラーを固めるほうが怖い。だから競争はずっと続けないといけない」と指揮官は選手たちのさらなる発奮を求めている。
キャプテンの遠藤は、表情を引き締めてこう語る。
「(最終予選は)自分たちを信じて戦うしかないと思うし、代表を背負う覚悟だったりを、一人ひとりが持ち続けていかないといけない。間が空いてしまいますが、代表選手としてのプレーを、チームに帰って個々がしっかりと意識してやっていければと思います」
リオデジャネイロ五輪出場に向けて、ひとまずは第一関門を突破した。しかし、昨年1月のU-22アジア選手権、同9月のアジア競技大会で、手倉森ジャパンはともにベスト8止まりだった。アジアからの五輪出場枠は3。現状ではベスト4にさえ届いていないという危機感を忘れずに、選手個々がさらなる成長を意識して今後のクラブでの活動に取り組んでいくことで、リオへの切符を掴み取りたい。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
もっとも、手倉森監督は「2戦目、3戦目は派手な勝ち方ではなかった」と認めつつも、「地味なところでバランス、コントロール力をアジアの中でも身につけさせることができたと思います」と一定の評価を与えている。
相手との実力差を考慮すれば、2戦目、3戦目も大勝できて不思議ではなかったが、中1日の厳しいスケジュールのなか、しっかりと勝ち切るタフさを証明してみせたのも事実だ。「勝たないといけない相手にしっかりと勝つということも、また違った難しさがある」(矢島慎也)。それを体現できたのは収穫のひとつと言っていい。
今予選を通じて、昨年1月のチーム発足以来、2度目の合流となった久保、南野の欧州組とまとまった期間をともに過ごせたのも大きかった。所属クラブとの取り決めで、ともに出場試合数は限られたが(編集部・注/久保は3試合中2試合の出場、南野はベトナム戦までの2試合)、チーム力をひとつ上のレベルに引き上げることを期待されているふたりは、手倉森ジャパンの戦術を身に付けていった。
南野は初戦のマカオ戦、久保は最後のマレーシア戦でそれぞれゴールを決めるなど結果も残してみせた。連係面ではまだまだ不十分な部分はあったにせよ、既存戦力との融合は確実に進み、チームの総合力は高まったと言えるだろう。
また、『鈴木のワントップ+久保のトップ下』など、欧州組の存在によってオプションが増えたのは間違いない。来年1月の最終予選も、今回と同じように集中開催となる。それだけに手倉森監督は「組み合わせをいくつも持っておくのと、代えが利くようなチーム作りが絶対に必要」と準備を進めている。
最終予選はおそらく中2日でのスケジュールが予想されるが、連戦を乗り切るためにも、「レギュラーを固めるほうが怖い。だから競争はずっと続けないといけない」と指揮官は選手たちのさらなる発奮を求めている。
キャプテンの遠藤は、表情を引き締めてこう語る。
「(最終予選は)自分たちを信じて戦うしかないと思うし、代表を背負う覚悟だったりを、一人ひとりが持ち続けていかないといけない。間が空いてしまいますが、代表選手としてのプレーを、チームに帰って個々がしっかりと意識してやっていければと思います」
リオデジャネイロ五輪出場に向けて、ひとまずは第一関門を突破した。しかし、昨年1月のU-22アジア選手権、同9月のアジア競技大会で、手倉森ジャパンはともにベスト8止まりだった。アジアからの五輪出場枠は3。現状ではベスト4にさえ届いていないという危機感を忘れずに、選手個々がさらなる成長を意識して今後のクラブでの活動に取り組んでいくことで、リオへの切符を掴み取りたい。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)