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ルーキー三笘薫はなぜ川崎優勝の原動力となれたのか? 大ブレイクのカギは筑波大での4年間にあり!

カテゴリ:Jリーグ

竹中玲央奈

2020年11月26日

三笘に刺激を与えた同期の存在と恩師が見た4年間の成長ぶり

全日本大学選抜では、現在チームメイトの旗手(左)、脇坂(中央)とも共闘。なんとも貴重なスリーショットだ。写真:竹中玲央奈

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 同年代のハイレベルな大会で成果を残し、さらにプロ相手にも自分のストロングを発揮し、チームを勝利に導く。彼にとって、この入学してからの2年間で大きな大会を経験し、結果を残せたことがその後の成長に大きく寄与したことは間違いない。

 かつて、高校卒業前にトップ昇格を打診されたときには欠けていた「プロの舞台で活躍できるという確信」を、三笘は大学2年間での成功体験で完璧に補完したのではないか。

 大学時代の彼の成長を語る上で外せないのが現在も、ともにプレーをする旗手怜央の存在だ。1年次から順天堂大で先発の座に就いた旗手は、夏の全国大会である総理大臣杯で決勝戦以外の全ての試合でゴールを奪い、文字通りチームを決勝の舞台まで導いた。

「もちろん意識はしますけど、まだ怜央のレベルには達していない。自分のことを見つめ直して、試合に集中するだけ」
 結果的に同じ進路を選んだ同級生の活躍もまた、三笘の成長源になったことは確かだろう。

 一方、筑波大学の小井土正亮監督は、三笘の凄みと成長点を次のように振り返る。

「分かってても抜かれますからね。止まってたら仕掛けられるし、突っ込んできたら交わされる。自分の身体を、相手を見て変えられるし、とにかく相手と逆を取り続けられるという部分が彼の凄さですよね。それに加えて、大学4年間で身体の部分が変わった。うまいけど90分もたない、ちょっと当たられたら転んでしまう。そういうことがあったのですが、しっかりとトレーニングを積んで成長したなと」

 恩師の目から見ても、彼がプロの舞台で活躍していることは想定内とのことだ。卒業後に海外でプレーするという選択肢も「無くはなかった」と続けて口にする。ただ、まずは国内で活躍して、自国開催の五輪に出場し……とステップを踏むため、現在の道を選択したとのことだ。

「あのドリブルは後から身につくものではない」
 小井土正亮監督が口にするように、プロの舞台でも発揮している“あの”ドリブルは、アマチュア時代から彼が持ち合わせていたものだ。ただ、高校時代には足りていなかった大舞台での成功体験、“プロ予備軍”の同世代と共に戦う中で得た手応えが、彼をひと回り成長させたのだろう。

 大学4年間は決して遠回りではない。それを示してくれたという意味でも、2020年の三笘薫が示した功績は非常に大きい。

取材・文●竹中玲央奈(フリーライター)


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