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20年前に東京を席巻した“ボケンセの狂気”! ボカがマドリーを倒したトヨタカップの記憶【南米サッカー秘蔵写真コラム】

カテゴリ:ワールド

ハビエル・ガルシア・マルティーノ

2020年10月30日

携帯電話でさえ普及していない時代に異国へ出向く情熱は――

ゴール裏のスタンドを覆いつくしたのは、ボケンセたちが掲げた熱き想いと誇りが込められたビッグフラッグだった。 (C) Javier Garcia MARTINO

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 ボカが滞在していたホテルのすぐ近くにあったスターバックスは、世界各地から来たボケンセの集いの場になっていた。それまでアルゼンチン国内でのボカ人気しか感じたことがなかった私は、世界中からあんなに大勢のボケンセが集まった光景を見て、彼らの忠誠心の深さを思い知った気がした。

 その後、コリンチャンスとリーベル・プレートが、当時のボケンセの1万人を大きく越える数のサポーターを日本に集結させたという記録が残っているが、前例のないことをやってのけたのはボケンセだった。彼らが国立競技場のスタンドに広げたビッグフラッグに書かれていた「我々の真似をすることはできても匹敵することは絶対にできない」という言葉が、そんな彼らのプライドを明確に表していた。

 今のようにSNSなどの情報交換ツールどころか携帯電話さえ普及していなかった時代に、愛するチームがタイトルをかけて戦う試合のためなら言葉も通じない異国の地へも出向くという情熱は、やっぱり南米特有のものだと思う。南米の人たちにとって、サッカーは単なるエンターテイメントではなく、人生そのものなのだ。
 
 だからあの日、ボカがレアル・マドリーに勝利して世界王者になったことは、南米大陸全土でも大ニュースとなった。各国のメディアから写真のリクエストが舞い込んで、私と同じようにアルゼンチンから取材に行ったフォトグラファーたちは、試合が終わってから国立のプレスルームで大量の写真を次々と伝送することになった。

 あまりの量に時間がかかり、ある同僚は大会のスタッフからプレスルームを追い出されるまで粘り、外に出るためにすでに閉ざされた門を飛び越えなければいけなかったほどだった。今でも彼と会うたびに、あの夜に体験した「locura(狂気)」を語り合っては懐かしむ。

 あれからもう20年も経ったなんて信じられない。そして、国立競技場が様変わりしてしまったと聞き、少しばかり寂しい気もしている。

文●ハビエル・ガルシア・マルティーノ text by Javier Garcia MARTINO
訳●チヅル・デ・ガルシア translation by Chizuru de GARCIA
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