チュクウェゼにジェラールと同等のパフォーマンスを望むのは酷である
代役のファーストオプションは、やはりチュクウェゼだ。この序盤、エメリ監督は昨シーズンのチームを土台に戦術を構築してきた。ましてや攻撃の要が欠けたとなると、修正を施す部分を最小限にとどめたいという考えが働いても不思議はなく、そうなるとチュクウェゼが最有力視される。
ただ同時にチュクウェゼにジェラールと同等のパフォーマンスを望むのは酷である。ビジャレアルの攻撃はジェラールを中心に回っていたといっても過言ではなく、4-4-2採用時にはチュクウェゼとも高い補完性を築いていた。ジェラールの右サイドに流れる動きに呼応して、チュクウェゼも細かくポジションを調整。持ち前のスピードで縦に抜けたり、カットインからフィニッシュに絡んだりしてサイドを崩し、ジェラールとともに2トップの左に位置するパコ・アルカセルへのパスの供給役を担っていた。
エメリ監督が序盤、右サイドの人選で久保よりもチュクウェゼを重用したのは、こういった広いスペースを活かせるスピード、鋭く中に切れ込んでのシュートやパス、そしてフィジカル能力で上回っている点を評価してのことだろう。
システム変更によってこの2人によるタンデムも解体されたわけだが、左利きで逆足となる右サイドは、ジェラール向きのポジションでもある。相棒の1人が不在となってこなさなければならない役割が広がった分、自由に動き回れるゾーンも増え、中断直前のアトレティコ戦でも素晴らしいパフォーマンスを見せていた。
しかしその攻撃の要が負傷で戦線を離脱する。前述したようにチュクウェゼがファーストオプションとなるが、ただ彼はジェラールのようなプレーの幅の広さはない。突破力と推進力を武器とするプレースタイルはアグレッシブで迫力もあるが、そのプレーはともすれば一本調子で、彼を右サイドに配置すると、攻撃の選択肢が減少するのは避けられない。
パレホとモイ・ゴメスが主戦場とする左サイドを軸とする攻撃に、切り替えなければならない事態に発展することも十分に考えられる。
ただ同時にチュクウェゼにジェラールと同等のパフォーマンスを望むのは酷である。ビジャレアルの攻撃はジェラールを中心に回っていたといっても過言ではなく、4-4-2採用時にはチュクウェゼとも高い補完性を築いていた。ジェラールの右サイドに流れる動きに呼応して、チュクウェゼも細かくポジションを調整。持ち前のスピードで縦に抜けたり、カットインからフィニッシュに絡んだりしてサイドを崩し、ジェラールとともに2トップの左に位置するパコ・アルカセルへのパスの供給役を担っていた。
エメリ監督が序盤、右サイドの人選で久保よりもチュクウェゼを重用したのは、こういった広いスペースを活かせるスピード、鋭く中に切れ込んでのシュートやパス、そしてフィジカル能力で上回っている点を評価してのことだろう。
システム変更によってこの2人によるタンデムも解体されたわけだが、左利きで逆足となる右サイドは、ジェラール向きのポジションでもある。相棒の1人が不在となってこなさなければならない役割が広がった分、自由に動き回れるゾーンも増え、中断直前のアトレティコ戦でも素晴らしいパフォーマンスを見せていた。
しかしその攻撃の要が負傷で戦線を離脱する。前述したようにチュクウェゼがファーストオプションとなるが、ただ彼はジェラールのようなプレーの幅の広さはない。突破力と推進力を武器とするプレースタイルはアグレッシブで迫力もあるが、そのプレーはともすれば一本調子で、彼を右サイドに配置すると、攻撃の選択肢が減少するのは避けられない。
パレホとモイ・ゴメスが主戦場とする左サイドを軸とする攻撃に、切り替えなければならない事態に発展することも十分に考えられる。
そこでクローズアップされるのが久保だ。現時点でジェラールのような周囲への影響力を発揮するまでには至っていないし、ゴール前での怖さも見劣りするが、ボールスキルに優れ、プレーアイデアも豊富。むしろ代役としては彼のほうが相応しいといえる。しかも右サイドバックのマリオ・ガスパールがここ数試合、積極的なオーバーラップの仕掛けから攻撃に厚みを加える働きを見せている。
中盤のパス交換に加わったり、タメを作ってサイドバックの攻め上がりを待ったり、ドリブルやパスで密集地帯を打開するといったプレーは明らかに久保のほうが優れる。マリオのサポートを受けることで得意とするペナルティーエリア近くでプレーする機会が増えれば、持ち味を発揮できる余地も広がってくるはずだ。
形だけの継続路線を推し進めるため定石通りにチュクウェゼをチョイスするのか、戦術の形を維持するために可能性を秘めた久保を抜擢するのか、エメリ監督の決断に注目だ。
文●アドリアン・ブランコ(戦術アナリスト)
翻訳●下村正幸
中盤のパス交換に加わったり、タメを作ってサイドバックの攻め上がりを待ったり、ドリブルやパスで密集地帯を打開するといったプレーは明らかに久保のほうが優れる。マリオのサポートを受けることで得意とするペナルティーエリア近くでプレーする機会が増えれば、持ち味を発揮できる余地も広がってくるはずだ。
形だけの継続路線を推し進めるため定石通りにチュクウェゼをチョイスするのか、戦術の形を維持するために可能性を秘めた久保を抜擢するのか、エメリ監督の決断に注目だ。
文●アドリアン・ブランコ(戦術アナリスト)
翻訳●下村正幸