【日本代表|戦力分析 DF編】長友佑都不在の今、30代主体の最終ラインから脱皮できるか?

カテゴリ:日本代表

元川悦子

2020年10月07日

吉田・冨安への依存を回避する戦力拡充は実現できるか

■右サイドバック――酒井が君臨するも成長を遂げる後輩たちが続く

 30歳の酒井宏樹が君臨する右SBにしても、今夏ドイツ2部に赴いた室屋成(ハノーファー)、U-17代表時代から「ポスト内田篤人」の呼び声が高かった菅原由勢(AZ)という複数の候補者がいる。これは大きな見どころだ。

 室屋は原口元気という力強い援軍もあって、いち早く新天地に適応。新シーズン開幕からスタメンを確保している。もともと走力、献身性、攻撃面でのダイナミックさを持ち合わせた選手だったが、2019年11月のベネズエラ戦(吹田)のように世界基準の相手だと守備面の脆さを垣間見せることがあった。それでも、強さと速さを備えたドイツのアタッカーと対峙し、課題克服に向かっているはず。その進化の度合いが楽しみだ。

 菅原は育成年代から右SB、センターバック(CB)を柔軟にこなし、AZ移籍後は一列前の右アタッカーもこなすマルチ型。思い切った攻撃参加とフィニッシュに絡む鋭さは折り紙付きだ。明るく社交的な性格で、年長者の多いA代表でもすぐに溶け込める。人間性は長友に近いと言えるかもしれない。そういう強みを持った逸材だけに、森保監督にはここで思い切って起用してほしい。

■センターバック――吉田・冨安のベースは強固だが…

 CBについても、吉田・富安のベースはそう簡単に崩れそうもない。ただ、ベルギー3年目の25歳・植田直通(セルクル・ブルージュ)に加え、23歳の板倉滉(フローニンヘン)と中山雄太(ズウォーレ)という20代の若手が台頭。「トミだけじゃなく、周りのCBも海外に来て活躍し、レベルが上がるたびに危機感を感じる」と植田自身も神妙な面持ちで語るほど底上げが著しい。実績の少ない彼らが代表でどこまでできるのか。そこは注目すべき点と言っていい。

 32歳でイタリア移籍に踏み切った吉田は自身のプレーの幅を広げており、もちろん定位置を明け渡すつもりはないが、今回はテストマッチ。若い世代が自信をつけてくれば、「吉田・冨安依存状態」にならなくて済む。戦力の選択肢が増えれば、森保監督も余裕を持ってワールドカップ予選を戦える。そういう理想的な方向に進んでほしい。

 ロシア以降、前線は世代交代が一気に進んだが、守備陣は依然としてベテラン勢が軸を担っている。森保ジャパンは30代中心の陣容から脱することができるのか……。10月2連戦はその大きな試金石になりそうだ。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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