ブレーメン大迫勇也、今はただ辛抱の時。ドイツでの“逆風”は強いが…【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中野吉之伴

2020年10月09日

大迫を矢面に立たせようとするメディアはあるが…

能力に疑いの余地はない。大迫の能力が生きるときが必ずくるはずだ。(C)Getty Images

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 とはいえ、それ以外でめぼしいチャンスは作れていない。今のままではいずれ、問題を抱えることもわかっている。フランク・バウマンSDは「勝ち点のためにこの2試合は戦った部分はある。これはスタートで、ここをベースに上積みしていける」と話している。その上積みの部分は、間違いなく確かな攻撃構築を作り出すことだ。

 そのためには、大迫の存在がきっと重要になってくる。大迫は開幕ヘルタ・ベルリン戦で先発起用されたが、目立った活躍ができないまま、前半だけでベンチにさがった。シャルケ戦では90分からの出場で、ビーレフェルト戦は出番なしだ。

 ドイツ・メディアは、ブレーメンファンが大迫のプレーや立ち振る舞いに満足いかず、ハーフタイムに交代を告げるアナウンスがあった際、歓声が上がったことを取り上げたり、矢面に立たせたりしている。
 
 確かにヘルタ戦では「気持ちが感じられない」「調子が悪い」「機能していない」と書かれてしまうようなパフォーマンスだったかもしれない。ただ、それを大迫一人の問題にするのは違う。なぜ、そうなっているかを考慮しなければならないからだ。

 思えば昨シーズン、大迫は苦しいチームの台所事情のなかで様々なポジションで起用され、それぞれのポジションでチームのために身体を張り、懸命なプレーをみせていた。調子を崩した時期もあったが、それでも大事な終盤にチームを支える素晴らしいプレーで残留への原動力のひとつになっていた。

 ボールが集まり、周囲がすぐサポートし、パスの出口をどんどん作り出すことができれば、大迫は非常に重要な選手になる。チームの基本的な守備組織やポゼッションでのパス回しが安定してくれば、大迫は間違いなく生きる。

 守備ライン間でボールを引き出し、起点を作り、チャンスをクリエイトする能力はチームトップレベルなのだから。コーフェルト監督もそのことはよくわかっているはず。

 いまはまだ、辛抱の時。

 適材適所で起用され、また本来のプレーが発揮できる日が必ず来るはずだ。
 
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)

ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中
 

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