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“赤い彗星”金古聖司はいま──。高校サッカー部監督として美学を貫く40歳の「埼玉奮闘記」

カテゴリ:高校・ユース・その他

河野正

2020年09月08日

「1年目は感情を出しすぎて失敗しました。未熟でしたね」

現役時代はJリーグのみならず東南アジアでもプレー。屈強さと知性を兼備するCBとして鳴らした。(C)SOCCER DIGEST

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 前述した主な戦績は前任者の記録で、金古監督にはまだこれといった実績がない。新人大会は8強が最高成績で、関東大会予選は1回戦で姿を消し、インターハイ予選はベスト16。高校選手権埼玉大会の決勝トーナメントには2度進んだが、いずれも1回戦で敗退している。

「成功体験を作ってあげられないのが悔しくて、特に無力だった1年目は生徒に申し訳なかった。『なんでできないの』『どうしてパスを出せないの』と感情を出しすぎて失敗しました。未熟でしたね」

 平日練習は最寄り駅への最終スクールバスが午後7時発のため、4時半から6時半までの2時間だ。チームに長く携わる大山真司、小池賢両コーチら4人の教員と外部コーチ2人で96人の部員を指導。トップ、セカンド、サードと3チームにレベル分けし、金古監督がトップチームを担当する。およそ2時間の練習中、的確な指示や称賛の言葉、ベストの選択ができなかった時には軽口を交えた指南の声が聞かれ、物腰柔らかな口上で選手を納得させていた。

 守備陣を統率する主将の笠木陽生は、2年前の第97回高校選手権で4強入りした尚志(福島)から最上位の特待生として誘われながら、本庄一を選んだ。「選手時代にすごい実績を挙げた指導者が身近にいるので、金古監督の下で学びたかった」と説明し、「監督と自分たちではレベルが全然違うのに激怒する姿を見たことがない」と、指揮官の温厚なパーソナリティーについて触れた。
 
 金古監督は結果を追求する一方、育成年代を指導する上でとても大切なことに言及した。「結果を出すなら蹴って走る戦術もありますが、彼らはそれで楽しいでしょうか。自分なら嫌いになる。サッカーの魅力が詰まった戦い方をしてもっとサッカーを好きになってほしい。最近、大学や社会人でサッカーを続ける卒業生が増えたんですよ」と言って、真っ黒に日焼けした顔をほころばせた。

 4-3-3システムを編成する今季のチームは昨年の主力が7人も残ったことで、ボールを握り、パスを丁寧につなぐ戦術面での上積みも大きい。

 笠木を中心とした堅陣に加え、昨年度までジュビロ磐田U-18に所属し、プレミアリーグにも出場したFW渡邊翔耶(3年)がこの4月に転校し、サッカー部に入ったことで得点力もアップ。「土のグラウンドは原点に戻った感覚です。守備の裏を突く動きと速さには自信があり、得点王になるくらいの気持ちでチームのためにがむしゃらに動き回りたい」と、自身にとって最初で最後の高体連の試合へ臨む情熱を語った。
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