Jリーグ21年連続ゴールの偉業達成――38歳・山瀬功治を突き動かす原動力とはいったい…

カテゴリ:Jリーグ

郡司 聡

2020年09月03日

決して平坦ではなかったこれまでの道のり。山瀬を突き動かすモノとは…

2007年には横浜で自身初の二桁、11得点を記録。この年、日本代表でも初ゴールを挙げるなど飛躍のシーズンとなった。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 5連戦の2試合目。連戦下で迎えた町田戦は、リーグ再開初戦・徳島ヴォルティス戦以来となる先発出場のチャンスだった。任されたポジションは、2シャドーの一角。その中での記録達成は偉業以外の何物でもないが、山瀬本人はシーズンを追うごとに年々重みが増す記録に対して、それを続けなければならないといった過度なプレッシャーは感じていないという。むしろあるのは、攻撃的な選手である以上、目に見えた結果が欲しいというゴールへの飢え。近年はボランチで起用されることも多いなか、本来の前めのポジションで起用されている以上、目に見える結果だけを追い求めていた。

「基本的には攻撃的なポジションをメインにやってきた選手なので、攻撃的なポジションで出ている以上、点を取るのは必要なことです。シーズンを通して、無得点という結果を残してしまうと、シーズンの振り返りで攻撃的な選手に対しての評価として、いいプレーが多かったとしても、それは評価しづらいでしょう。ポジション的には、点を取ることがマストだと思っています」

 攻撃的なポジションの選手として、ただ必要とされる結果を残したまで。偉大なる記録更新も、純粋に結果を希求する延長線上でしかなかった。

 とはいえ、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。「1か月近くの離脱は久しぶり」だったことで完全復活に向けて、「探り探りやってきた」。そうして11節のモンテディオ山形戦でケガ明けから8試合ぶりに公式戦復帰を果たすと、コンスタントに出場時間を重ねつつ、町田戦で先発に返り咲いた。どこまでゲーム体力が持つか分からないなかで、「いけるところまでいこう」と75分に交代するまで、ニンスタのピッチを駆け回った。
 
 9月22日には39歳になる。『40』の大台まであと1年。歴史の歩みを止めずに、プロ21年目もゴールを記録した男を突き動かしている原動力は、いったい何なのだろうか。

「まずシンプルにこの歳ですから、いつサッカー人生が終わるか分からない状況のなかでプレーしているというよりも、プレーをさせてもらっているという感覚が強いです。昨年、今年とプレーをさせてもらえる機会を作っていただいている愛媛FCをはじめ、愛媛の方を含め、感謝というか、ありがたさを感じながらプレーをしています。そのなかで少しでもチームの力になれるように、という思いを持ちながらプレーしています。目に見えない形でも、どんな形でもいいので、チームにとって少しでもプラスになればいいな、という思いでやらせてもらっています」

 原動力は愛媛に対する感謝の思い――。かつて稀代のドリブラーとして名を馳せ、J1名古屋グランパスの前田直輝が少年時代、「すごく憧れていた」という名プレーヤーの輝きは、まだまだ色褪せる気配がない。

取材・文●郡司 聡(フリーライター)
 
【関連記事】
【番記者コラム】愛媛が最もJ1へ近づいた2015年――粉飾決算のピンチをチャンスに変えた指揮官のリバウンドメンタリティ
あのブラジル人J戦士はいま【第1回】ビスマルク――「自分のような選手を助けてあげたかった」
“2大司令塔”小野伸二×大島僚太の特別対談が実現!大島が見本にしている小野のプレーは…
柿谷曜一朗が挙げる天才たち「イニエスタと小野さんは別格として、1位は…」
「ヴィッセル神戸のようなクラブで…」退団表明のメッシがJリーグ入りも? 名物スペイン人ジャーナリストが可能性を示唆

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ