パスコースが見つからない… 重要な一戦に先発するも南野拓実に突きつけられた厳しさ

カテゴリ:ワールド

山口裕平

2015年02月27日

トライする意識が強いチームメイトと、確実につなごうとする南野に生じるズレ

攻撃的なサッカーを展開するザルツブルクのなかで、南野はまだフィットし切れていないようだ。(C) Getty Images

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 アグレッシブなサッカーを展開するザルツブルクは、ボールを失うことを恐れずに前へボールを運んでいく。一度ボールを奪われても素早い切り換えから、すぐさまプレスを掛け、再びボールを奪い返してさらなる攻撃を仕掛けていくサッカーを繰り広げる。この試合でザルツブルクが奪った先制点も、イーブンの状況で前線に縦パスを入れたことから生まれた。
 
 その点で言えば、まだボールを大切にしようとする意識の強い南野は、チームにとって異質な存在になってしまっている。五分五分の確率ならトライすることが意識として共有されているザルツブルクの選手たちは、南野からボールが出てくると考え、常に前線に飛び出す準備をしている。そのため、より確率の高いプレーを選びたい南野が確実なパスコースを探そうとしても見つからなくなってしまうのだ。
 
 象徴的だったのは22分のプレーだ。ペナルティー・エリア付近で、後ろ向きでボールを受けた南野はいったん戻して組み立て直そうとした。だが、チャレンジのタイミングだと考えたチームメイトの意識は前に向いており、パスコースが見つからないことに慌てた南野はミスをしてボールを奪われてしまった。ザルツブルクのスタイルが身体に染み付くまでにはもう少し時間が必要だろう。
 
 ただこうした高いレベルでの戦いを目指して欧州へやってきた南野にとって、この試合は貴重な経験となったはずだ。これからシーズン終了までは国内リーグ優勝を目指しての戦いとなるが、そこでもビジャレアルのようなレベルの相手にどう勝つか? という基準でプレーすることになるだろう。
 
「課題が見えたんでそこをしっかり、今後やっていければいいかなと思います」
 南野にとっての欧州カップ初挑戦が終わった。
 
取材・文:山口裕平
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