現在はブラジル北東部の風光明媚な海岸町アラカジューに住む。シュラスカリア（ブラジル風焼肉屋）を経営するが、「やはり自分はフットボールが好き。クラブの監督かGMをやりたい」と目を輝かせる。

「現役時代、ネルシーニョ（現・柏レイソル監督）、レヴィー・クルピ（セレッソ大阪などを指揮）、チッチ（現ブラジル代表監督）、ルイス・フェリペ・スコラーリ（元ブラジル代表監督）、ムリシー・ラマーリョ（元サンパウロ監督）ら偉大な指導者たちから多くのことを学んだ。

　チーム戦術はあくまでも選手次第だが、すべての選手が攻守両面でしっかり役割を果たし、互いに連動してプレーするスタイルが理想だ。センターフォワードには、かつての自分のような選手が欲しいね（笑）。まずブラジル国内の中小のクラブで経験を積み、いずれはＪリーグの強豪クラブを指導するのが夢だ」

　現役引退後、ビジネスや政治という全く異なる世界を垣間見た男が、またフットボールの世界に戻って来ようとしている。

　今後、指導者としても成功を収めることができるかどうか。「雄々しい心臓を持つ男」の新たな挑戦が始まる。
　
取材・文●沢田啓明