【CLポイント解説】バーゼル 1-1 ポルト|試合の実質を反映した妥当な引き分け

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2015年02月19日

ゴンサレス、オリベルの負傷退場が及ぼした影響。

GKと交錯して脳震盪を起こしたゴンサレスが、開始25分で退場。バーゼルにとって痛いアクシデントだった。 (C) REUTERS/AFLO

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ダニーロがPKを決めて1-1。そのPKとなったハンドの判定は、ポルトにとって幸運だった。 (C) REUTERS/AFLO

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4)若きタレントの不運――その1:デルリス・ゴンサレス
 
 バーゼルにとって不運だったのは、先制ゴールを決めたゴンサレスがシュートの直後にGKファビアーノと交錯、側頭部に膝が入って脳震盪を起こし、その影響で早くも25分にピッチを退かざるをえなかったこと。
 
 先制して受けに回る展開で、裏に抜け出すスピードとタイミングの感覚を備えたこの20歳のパラグアイ代表は、カウンターから追加点を狙う上で決定的な武器になるはずだった。
 
 交代で入ったカッラは実直なハードワーカータイプのサイドハーフ。バーゼルが残る70分弱を守勢一方で過ごさざるを得なくなった一番の理由は、最大の攻め手を失ったことにあった。
 
5)若きタレントの不運――その2:オリベル・トーレス
 
 カゼミーロが絶不調でボールがスムーズに回らず、強引なミドルやセットプレー以外に攻め手がなかったポルトが、前半30分過ぎから徐々に押し込み始めたのは、ゴンサレスと同じ94年生まれの小柄なビッグタレント、オリベルが積極的にボールに絡んでゲームを作るようになったおかげだった。
 
 後半に入ってポルトが作ったビッグチャンス(59分のテージョ、64分のマルティネス)は、いずれもこのスペインU-21代表のアシストから生まれたもの。しかしそのオリベルも、フィジカルコンタクトで肩を痛めて68分に交代を強いられる。
 
 交代で入ったR・ネベスも97年生まれという期待のタレントだが、さすがにCLの真剣勝負は17歳には荷が重過ぎたようで、ほとんど存在感を見せられなかった。
 
6)幸運なPKで妥当な引き分けに落ち着く
 
 アイデア溢れるパスワークで決定機を演出していたオリベルがピッチを去ると、ポルトは再び最後の30メートルで違いを作り出せなくなってしまう。
 
 このままバーゼルが逃げ切りそうな気配がピッチ上に漂い始めた79分、しかしポルトはPKでやっと同点に追いついた。
 
 右サイドから裏に抜け出したダニーロが折り返したグラウンダーのクロスが、スライディングに入ったCBサムエルの股間を抜け、反対側で身体を支えていた手に当たったのを、クラッテンバーグ主審がファウルと判定して笛を吹いたのだ。
 
 CL再開前にUEFAのコッリーナ審判部長がマスコミに説明した判定基準に従えば、この場面は手にボールが当たっても故意とはみなされないケースに該当するはず。その点から見ればこの判定はポルトに甘いものだった。
 
 とはいえ、後半を通してポルトが一方的に攻め続けていた展開からすれば、この1点はそれに見合った報酬であることもまた確か。その意味では最初に見た通り、1-1の引き分けは妥当な結果だったと言えるだろう。
 
 ゴンサレスが、そしてオリベルが故障退場していなければ、また別の結果になっていたのかもしれないが……。
 
文:片野道郎
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