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指揮官に自ら進言。「俺を中盤で使ってください」【ファルカン・ジャパンの“10番”岩本輝雄の栄光と苦悩の記憶|EP3】

カテゴリ:連載・コラム

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年06月14日

「大歓声が聞こえてきて、めちゃくちゃ嬉しかった」

岩本を見出したファルカン監督。練習のメニューはハードだったが、岩本は「そのおかげで、かなり走れるようになった」と言う。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 記念すべき代表初得点は、「まったく得意ではないし、あんまりやらない」というヘッドでのゴールだった。「DFにもFWにも、ヘディングのスペシャリストがいる。だから“中盤の俺”には、あんまり必要ないと思っていた」と言うわりには、抜群のタイミングでジャンプし、しっかりと頭でミートしたファインゴールだった。

「ヘディングのセンスがある? いや、感覚かな。先にジャンプすれば、いけると思った。まだ若かったし、足首も全然怪我していないから、ジャンプ力はけっこうあったんじゃないかな」

 フランス戦でドリブルを仕掛けた時、耳に届いた観衆のどよめきが、今度ははっきりと、そのボリュームを大きくして聞こえた。

「神戸ユニバでの試合で、大歓声が聞こえてきてね。めちゃくちゃ嬉しかった」

 試合は、テルのゴールとカズの決勝点で2-1の勝利。「カズさんとの連係も含め、周りとの連係も問題はなかった。俺はわりと自由にやらせてもらっていて、周りの人たちが合わせてくれていたと思う。まだまだ中心選手ではないけど、けっこうできるかな、という印象があった」。

 確かな手応えを掴んだテルに、ファルカンは「クラブに戻ったら、中盤なんだから、とにかく点を取りに行け」と発破をかけた。
 
「アシックスカップが終わって、8月からニコスシリーズが始まって、これまで以上に得点にこだわるようになった。実際、4節のジェフ戦で決めて、7節のガンバ戦では2ゴール、次のフリューゲルス戦ではFKで1ゴール。良い感じだったよね」

 ファルカンの要望どおりのパフォーマンスで、着々と次のステップに向けて準備を進めていく。10月にはアジア大会が始まる。これまでの親善マッチとは異なり、タイトルを賭けたアジアのライバルたちとの真剣勝負だ。順当にメンバー入りしたテルだが、「優勝が目標だったけど、そういう大会は初めてだし、どんな感じなのか、なかなかイメージできなかった」という。

 コンディション的には、その頃は絶好調というわけではなかった。シーズンの開幕から、ずっと突っ走ってきた。「言い訳になるけど、少し疲れていたかもしれない」。それでも、代表に選ばれるのは名誉なこと。気持ちを奮い立たせて大会前の合宿に入ると、予想しなかった事態に直面する。

<エピソード4に続く>

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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