【番記者コラム】2013年の訃報から7年…山口に受け継がれる亡き宮成隆GMのスピリット

カテゴリ:Jリーグ

上田真之介

2020年05月10日

霜田監督も想いを引き継ぐ

2018年の岡山との一戦は記憶に残るゲームとなった。試合は山下(24番)のゴールで勝利。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 その上野監督も17年で退任し、今や当時を知る選手もいない。だが、スピリットはしぼむどころか、脈々と受け継がれている。

 宮成氏の死去からちょうど5年後の2018年6月9日。みらスタではJ2リーグが行なわれ、約8千人のサポーターがピッチにくぎ付けになっていた。対戦相手はファジアーノ岡山。奇しくも宮成氏の死去直後に開かれたゲームが、岡山・政田サッカー場で行なわれたファジアーノ岡山ネクスト(ネクスファジ)戦だったことを考えると、隔世の感を覚える90分間だった。わずか5年で山口は大きく進化したと言わざるを得ないし、昔を知る関係者は見果てぬ夢の実現を感慨深く見守ったことだろう。

 試合は現キャプテンの池上丈二のクロスに、山下敬大(現・千葉)が頭で合わせ、これが決勝点となった。山口にとっては珍しいウノゼロの勝利だったが、5年で10倍以上に膨れ上がったスタンドは勝利に酔いしれた。

 ゲーム後の記者会見で霜田正浩監督は「今年来た選手たちも宮成さんとは面識はないが、チームの歴史を作ってくれた方へのリスペクトは絶対に持たないといけない」と述べ、決意を新たにした。
「チームを作ってくれた方がいるので、多くのサポーターが来てくれて、色々なチームから選手が来てくれて、こういうゲームをサポーターの前で見せることができる。過去にレノファに携わってくれた人たちも含め、チーム山口で成長していければと思う」

 山口のクラブチームとしての発足は06年で、宮成氏が去った13年もまだ7年前の出来事。決して遠い過去ではないが、時々は思い返さなければならない激動の時代が横たわっている。当時の監督や選手や関係者がいて、今のスタイルがある。今年の命日にスタジアムでボールを蹴り合う音は届けられないかもしれないが、大事にしているスピリットは今年もミヤさんに届くはずだ。

取材・文●上田真之介(フリーライター)
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