【ロマーリオ/この一枚】神様ジーコに宣戦布告!? そして有言実行のハットトリック

カテゴリ:ワールド

徳原隆元

2020年05月09日

“自分がナンバーワンだ”という強烈な自負

ボリビア戦の試合前の一コマ。自らの実力に絶対の自信を持ち、決意に満ちた表情だ。写真:徳原隆元

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 歴代のスターを引き合いに出して、自分の能力を誇示する大胆さ。おそらくロマーリオも、本心では得点差はまだあると理解していたかもしれないが、復帰戦となるボリビア戦で、自分が言ったことを確実にやり遂げて、ブラジル代表にとって重要な選手であることを証明したかったに違いない。

 そして、ロマーリオは見事にやってのける。11分、バンペッタのドリブル突破から得たPKによる先制弾を皮切りに、78分と80分にもゴールネットを揺らす。宣言通りに3得点を叩き出したのだ。他にもシュートをクロスバーとポストに当てていて、運が良ければ5ゴールを決める圧巻の活躍を見せたのだった。

 この原稿を書くにあたり、改めてふたりのセレソンでの通算得点記録を調べ直したが、やはり数字はまちまちだった。ただし、このエピソードにおいて、正確な数字はある意味、どうでもいいことではないだろうか。なにより重要なのは、3点を決めると言って、それをやってのけたロマーリオの実行力だ。

 ボリビア戦は、ロマーリオのハットトリックに加え、リバウドのヘディングシュートと相手のオウンゴールで、5-0の大勝を飾る。試合後の記者会見に出席したリバウドは「ゴール前20~30メートルでは、誰もロマーリオを止められない」と賛辞を贈った。

 ロマーリオはスピードがあるタイプではない。得意としているのは、基本技術をベースとしたワンタッチプレーと、相手との駆け引きから逆を取ってかわす老獪さだ。神出鬼没な動きで、いとも簡単にマーカーを振り切るのも実に巧みだ。
 
 先制点のPKに関してリバウドは「(ロマーリオが)蹴っていいかと聞いてきたから、代表に復帰してゴールをしてもらいたかったから譲った」と言っていた。

 それを聞いた友人のブラジル人カメラマンは、実際のPKの場面の状況を教えてくれた。彼はロマーリオがシュートするところを撮影しようとゴールの近くにいたため、ふたりの会話を聞くことができたようだ。筆者は、シュートを決めて喜ぶ表情を狙おうとコーナーに近い場所で撮影していたため、ロマーリオとリバウドのやり取りは分からなかった。

 友人が言うには、「確かにロマーリオは、PKを蹴っていいかとリバウドに聞いていた」。だが、記者会見でのコメントのように素直には認めなかったようだ。「リバウドは小さく肩をすくめて、どうだか、みたいな顔をしていたよ」というのだ。

 世界チャンピオンを目指す代表チームの中の、さらに中心となるべき選手が持つ“自分がナンバーワンだ”という強烈な自負には驚くばかりだ。結局、苦戦を強いられた南米予選は無事に突破。リバウドは本大会でチームを優勝に導く活躍を見せた一方、ロマーリオはメンバーから外れることになる。

取材・文・写真●徳原隆元

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