OBがスタッフとしてクラブに戻るサイクルが訪れ…
J1からJ3や大学のリーグ戦などはもちろんチェック。情報網を張り巡らせ、補強候補をリストアップし、数字をチェックする。前年、前々年の出場試合数がマストで、FWなら得点数、アタッカーならアシスト数、クロス成功率などがある。ただ、数字以外で重視するのは“人間性”だという。
「献身性とも言えるが、チームのために走れて身体を張れるか。試合に出れない時になにができるか。大分は地域に支えられて愛されてきたから、地域愛やサポーター愛も必要」
補強を成功させるにはスカウトの力も必要だが、「現場の力も必要。選手を育てながら結果を出すことは、どの監督でも簡単ではない。この難題に応えてくれているのが片野坂(知宏)監督」と西山GMは言葉に力を入れる。年齢や実績にとらわれない指揮官の起用法は、コーチングスタッフにも共有されており、チーム内に激しい競争意識が芽生えた。
その結果、飛躍的に力をつけた選手も多く、高卒1年目からレギュラーに抜擢された岩田智輝は、東京五輪を戦うU-23代表やA代表に選出されるまでに成長。また、全国的に無名だった鈴木義宜や長谷川雄志は大卒1年目から活躍し、他チームで出場機会に恵まれなかった松本怜や高木駿は、今や不可欠な存在となった。
「献身性とも言えるが、チームのために走れて身体を張れるか。試合に出れない時になにができるか。大分は地域に支えられて愛されてきたから、地域愛やサポーター愛も必要」
補強を成功させるにはスカウトの力も必要だが、「現場の力も必要。選手を育てながら結果を出すことは、どの監督でも簡単ではない。この難題に応えてくれているのが片野坂(知宏)監督」と西山GMは言葉に力を入れる。年齢や実績にとらわれない指揮官の起用法は、コーチングスタッフにも共有されており、チーム内に激しい競争意識が芽生えた。
その結果、飛躍的に力をつけた選手も多く、高卒1年目からレギュラーに抜擢された岩田智輝は、東京五輪を戦うU-23代表やA代表に選出されるまでに成長。また、全国的に無名だった鈴木義宜や長谷川雄志は大卒1年目から活躍し、他チームで出場機会に恵まれなかった松本怜や高木駿は、今や不可欠な存在となった。
また、昨年からアカデミーの育成により力を入れ、「クラブの哲学を共有し、アカデミーの選手に正しく伝えられるように」(西山GM)とスタッフを指導するヘッドオブコーチングを設けた。この職には抜群のキャプテンシーで02年のJ1昇格に貢献した浮氣哲郎氏を招聘。
さらにU-18監督に吉村光示、コーチに山崎哲也、U-15監督に梅田高志、U-14コーチに山崎雅人など、アカデミースタッフにOBを揃えた。トップチームの片野坂監督もOBのひとりだ。
停滞や降格、失敗も悲哀も知る選手が引退して、指導者として戻ってくる。ビッククラブでは当たり前かもしれないが、大分でもそのサイクルが訪れた。歴史の半分以上は苦しい時期だった。資金はいつだって厳しい地方クラブ。でも、決して恥ずべきではない。青臭い物言いだが、「大分トリニータ」という存在はプライスレスだ。
今季の始動前にキャプテンの鈴木が「サッカーはやってみなければ分からない。責任と覚悟を持って戦おう」と語った姿からは、脈々と受け継がれるチーム愛を感じた。日本ではスポーツのステータスが低いと言われることがある。なくなっても困らないものだと。ただ、新型コロナウイルスで世界が不安定な時だからこそ、感情を動かすもの、心揺さぶるものが必要になる。この街にはそれがある。大分トリニータがある。
取材・文●柚野真也(フリーライター)
【PHOTO】ルヴァンカップ全大会のMVP受賞者を一挙振り返り!(1992~2019)
さらにU-18監督に吉村光示、コーチに山崎哲也、U-15監督に梅田高志、U-14コーチに山崎雅人など、アカデミースタッフにOBを揃えた。トップチームの片野坂監督もOBのひとりだ。
停滞や降格、失敗も悲哀も知る選手が引退して、指導者として戻ってくる。ビッククラブでは当たり前かもしれないが、大分でもそのサイクルが訪れた。歴史の半分以上は苦しい時期だった。資金はいつだって厳しい地方クラブ。でも、決して恥ずべきではない。青臭い物言いだが、「大分トリニータ」という存在はプライスレスだ。
今季の始動前にキャプテンの鈴木が「サッカーはやってみなければ分からない。責任と覚悟を持って戦おう」と語った姿からは、脈々と受け継がれるチーム愛を感じた。日本ではスポーツのステータスが低いと言われることがある。なくなっても困らないものだと。ただ、新型コロナウイルスで世界が不安定な時だからこそ、感情を動かすもの、心揺さぶるものが必要になる。この街にはそれがある。大分トリニータがある。
取材・文●柚野真也(フリーライター)
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