【FC東京】J2降格からの逆襲。“起爆剤”となったキーマンは…

カテゴリ:Jリーグ

馬場康平

2020年05月04日

森重の覚醒とルーカスの復帰

森重はJ2制覇と天皇杯優勝の立役者に。2011年シーズンは大きな成長を遂げる年に。写真:サッカーダイジェスト

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 森重は加入1年目の2010年シーズンに、つまらないファウルを重ね、累積警告などで年間4試合に出場停止を受けた。森重は「降格はオレの責任だった。自分のミスで試合を台無しにしたこともあった。チームにも迷惑を掛けたし、人としてもっと成長しないといけなかった」と口にし、一つひとつのプレーを見直し、地道な守備練習を重ねた。「隣に最高のお手本がいたので、今野さんのプレーも参考にした」。そうやってカードコレクターの汚名を返上。克己心を培った森重は、東京にとって欠かせないピースとなった。森重は後にこの頃のことをこう語っている。

「すぐに成果が出るわけではないと分かっていた。長いスパンで考えて、地道にコツコツやり続ける。理想を追求して、それが身に付いていく。その課程が楽しくなった。自分で立てた目標に対してしっかりと取り組めるようになった。その繰り返しが成長にもつながった」

 そして、夏場に新たに心強い柱が加わる。ブラジルで現役を引退していたルーカスを口説き落とし、チームはJ1復帰、J2制覇へと駆け抜けた。そのルーカスが、J1復帰を決めたあと、新たな目標をチームへと植え付けた。

「元日にサッカーをやるのは本当に楽しいよ。みんなで天皇杯の決勝に行こう。優勝したら清々しい気持ちになれる。本当に素晴らしい瞬間を味わえるから」
 
 そして、準々決勝で浦和レッズを破り、準決勝でセレッソ大阪にも競り勝ち、決勝の舞台へとたどり着いた。国立競技場での決勝は、京都サンガとの初のJ2対決となった。試合は、さまざまな重圧から解放され、清々しいまでの打ち合いを演じた。先制されながらも今野と、森重のゴールで逆転すると、後半はルーカスの独壇場となった。ゴールネットを2度揺らし、4-2でチームを初優勝へと導いた。

 最高の舞台で、選手たちは初の栄冠を掴み取った。5月にブーイングを浴びた指揮官は、国立のスタンドへと上った選手たちをどんなに誇らしく思っただろう。瞳をにじませる姿がスタジアムに写されると、自然と観客席からは大熊トーキョーコールがわき上がった。大熊監督は、教え子たちに向けて、こうコメントを残している。

「自分のチームだけど、感動しましたね。選手の頑張りと、このサポーターの雰囲気と。(J2では)もがき苦しんだ。周りの期待が大きい分、苦しんだけど、最後は良かった。(選手には)ありがとう(と声を掛けたい)」

 J2降格と、J2優勝そして天皇杯初制覇。イバラの道を抜け、あの日、元日に喜びの花が咲き誇った。それは、FC東京史に残る、まるで映画のようなラストシーンのひとつだった。

取材・文●馬場康平(フリーライター)
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