すでに“でき上がっている”チームに入り、試合で結果を出せるか。
フルコートになってもザルツブルクの選手たちのボールへ寄せる激しさは落ちない。一方のチームは最終ラインをハーフウェーラインまで押し上げて陣形をコンパクトに保ち、両チームの選手全員がハーフコートに収まっている。そして前線の選手たちはGKまで猛然とボールを追い回していく。対する敵チームも、ボールを奪い返しては少ないタッチでプレスをかいくぐり、素早く前線にボールを運んで相手ディフェンスラインの背後を狙っていく、非常に緊迫した練習だ。
やはりボールに触れる機会が限られたが、その中でも南野が違いを見せる場面はあった。相手DFがラインを非常に高く保って激しくボールホルダーに寄せてくるため余裕はないが、それをかわしてしまえば背後には大きなスペースが広がっておりチャンスが生まれる。最終ラインを上げてプレスを掛けることを想定した練習なので、そうなり得ることは当然なのだが、これだけ激しいプレスのなかでそれをやるのは容易なことでない。
そうした状況で南野は一瞬の判断から意表を突くターンで相手の逆を取り、そこから一気に相手DFの裏を突いてゴールにつなげる場面を作り出した。南野の言う「手応え」とはこういったプレーを指していたのだろう。
これから南野に必要になっていくのはチームに溶け込むこと、そして試合で結果を出すことだ。チームに溶け込むというのは単に新たな環境に慣れ、監督やチームメイトとコミュニケーションを取って周囲からの理解を深めていくことだけではない。
ザルツブルクは、たった一度の練習を見ただけで明らかなほどアグレッシブなサッカーを展開するチームだ。最後の試合形式の練習で左ウイングの位置に入った南野も前線から積極的にプレスを掛けていき、時折「タクミ、グットだ!」という声が監督から飛ぶこともあった。
とはいえ、すでにコンセプトに基づいて“でき上がっている”チームに、加入して間もない南野が入れば、そこに綻びが生まれてしまうかもしれない。それは「試合になってみないと分からない」ことだ。いかに南野が技術的に頭ひとつ抜けているとは言え、まずはザルツブルクのサッカーを学び、戦術理解度を高める必要がある。
だが、これからの練習試合でチャンスを得る機会はあるはずだ。練習を一般見学していた男性の「タクミはスピードがあって良い選手だと思うよ」という印象は誰もが持っており、ファンもすでにその実力を認め始めている。だからこそ南野は、“試合で”その実力をしっかりと示さなければならない。南野自身も「練習はあんまり関係ないんでね」と、試合で結果を出していくことの重要性を理解している。
取材・文:山口裕平(フリーライター)
やはりボールに触れる機会が限られたが、その中でも南野が違いを見せる場面はあった。相手DFがラインを非常に高く保って激しくボールホルダーに寄せてくるため余裕はないが、それをかわしてしまえば背後には大きなスペースが広がっておりチャンスが生まれる。最終ラインを上げてプレスを掛けることを想定した練習なので、そうなり得ることは当然なのだが、これだけ激しいプレスのなかでそれをやるのは容易なことでない。
そうした状況で南野は一瞬の判断から意表を突くターンで相手の逆を取り、そこから一気に相手DFの裏を突いてゴールにつなげる場面を作り出した。南野の言う「手応え」とはこういったプレーを指していたのだろう。
これから南野に必要になっていくのはチームに溶け込むこと、そして試合で結果を出すことだ。チームに溶け込むというのは単に新たな環境に慣れ、監督やチームメイトとコミュニケーションを取って周囲からの理解を深めていくことだけではない。
ザルツブルクは、たった一度の練習を見ただけで明らかなほどアグレッシブなサッカーを展開するチームだ。最後の試合形式の練習で左ウイングの位置に入った南野も前線から積極的にプレスを掛けていき、時折「タクミ、グットだ!」という声が監督から飛ぶこともあった。
とはいえ、すでにコンセプトに基づいて“でき上がっている”チームに、加入して間もない南野が入れば、そこに綻びが生まれてしまうかもしれない。それは「試合になってみないと分からない」ことだ。いかに南野が技術的に頭ひとつ抜けているとは言え、まずはザルツブルクのサッカーを学び、戦術理解度を高める必要がある。
だが、これからの練習試合でチャンスを得る機会はあるはずだ。練習を一般見学していた男性の「タクミはスピードがあって良い選手だと思うよ」という印象は誰もが持っており、ファンもすでにその実力を認め始めている。だからこそ南野は、“試合で”その実力をしっかりと示さなければならない。南野自身も「練習はあんまり関係ないんでね」と、試合で結果を出していくことの重要性を理解している。
取材・文:山口裕平(フリーライター)