J1はもう夢の舞台ではない――V・ファーレン長崎の基準を押し上げた2018年の苦闘

カテゴリ:Jリーグ

藤原裕久

2020年04月26日

「去年は昇格と言いすぎた」(玉田)

今季も積極的に戦力を補強。富樫ら新戦力の活躍が期待される。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 大きな戦略上のミスは見られなかった。開幕前には異例だった主力全員の残留と、経験値のあるベテランの補強、若手の台頭とエースストライカーの活躍、さらに夏にはヨルディ・バイスを獲得して守備をテコ入れ。例年以上の積み上げができていて、確実に1年前より強くなっていた。

 しかしJ1のレベルは、それ以上だった。チーム力、予算規模、クラブの組織体制など、長崎が当時できる全ての手を打ってもなお、突破できない厚い壁があった。

 一方でJ1は、長崎に多くのものも見せてくれた。正確に言えば、長崎のほうが魅せられてしまったのだ。ハイレベルな選手とプレー、質の高い戦術、高度な駆け引き、規格外なプレーヤー、注目度の高さ。J2では経験できなかったものを知り、そんな舞台で全力を尽くして善戦したことで、チームへの誇りと降格した悔しさは一層強いものとなった。当然、その強い想いは「必ずもう一度J1へ」という願いへ変わる。

 気付けば、クラブに関わるすべての人に「J1へ戻る」という想いが共有された。選手たちはJ1基準でプレーを語ることが増え、クラブの強化予算は大幅に増額された。サポーターもJ2の素晴らしさを楽しみながらも、J1昇格を当たり前に期待するようになっている。
 
 J1降格から2年、長崎はまだJ2で戦っている。J2降格後に就任した手倉森誠監督は昨年、1年でのJ1復帰という公約を果たせなかった。チームを抜本的に作り直すため、文字どおりの「スクラップ&ビルド」へ取り組んでいる以上、それはやむを得ないだろう。

 だが今年はさらに強化予算を増額するなど、クラブのJ1への意欲は少しも衰えてはいない。スポンサー料やスタジアムグルメの出店料などは、原則的にJ1の時のままだ。クラブのすべてはJ1を基準に動き続けているのだ。

「去年は昇格と言いすぎたからね。それで上手くいかなかった部分もある」

 今年のシーズン前に、玉田圭司は言った。そう、今の長崎にとって昇格は何度も口にすべき夢ではない。J2降格が決定した18年11月17日から、J1は夢の舞台ではなく、必ず帰るべき場所へと変わった。それを変えたものこそが、18年の戦いとJ2降格という経験だった。

取材・文●藤原裕久(フリーライター)
 
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