【担当コラム|横浜FC】俊輔が語る引き際の美学、そして静かなる野望について

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年04月22日

意欲に満ちた表情で「記録を作りたいよね」

チームメイトのカズ(左)は、J1最年長ゴールの記録更新を争うライバルである一方、「カズさんに良いボールを出したいし、点を決めてほしい」とも。写真:滝川敏之

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 とはいえ、『ファンタジスタ』としての自分を過去に置き去りにしたわけではない。「自分のプレーを“探す”というか。あの時、こんなプレーをしていたな、って。そういう自分を、確かめたい」とも俊輔は言う。

 サッカーに関しては、とにかく貪欲な男だ。「他の人の良いプレーもいっぱい見て、そうやってイメージして練習しておけば、あとは試合で実践すればいいだけ。そんなことを寝る前とかもずっと考えている。でも楽しいからね」という言葉にも精気がみなぎる。

 チームのために、自らが黒子役に回ることもいとわないが、ギラギラした部分もその胸の内に秘めている。

 今季の広島とのルヴァンカップ初戦、その日はベンチ外だった俊輔も会場の三ツ沢に足を運んでいた。スタジアム入りするジャージ姿の俊輔を捕まえて少しだけ話を聞けば、意欲に満ちた表情でこう言った。

「記録を作りたいよね」
 ジーコ(元鹿島、現・鹿島テクニカルディレクター)が保持する41歳3か月12日のJ1最年長ゴール。それを塗り替えたい、と。

 チームメイトには「53歳」のカズという強力なライバルもいるが、俊輔も燃えている。記録そのものに強いこだわりを見せないアスリートもなかにはいるが、俊輔は清々しいまでに、“新記録樹立”への野望を口にする。

 得意のFKか、精緻なミドルシュートか。いずれにしても、ゴールという決定的な仕事でJ1に爪痕を残そうとしている。その想いが、原動力になっているはずだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、Jリーグは延期が続き、チームも活動休止中だ。難しい状況が続くが、再開に向け、俊輔は今の立ち位置でいかに輝きを放つか、そのイメージを膨らませて、着々と準備を進めているに違いない。

文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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