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2006年ドイツW杯で収めた“デル・ピエロの咆哮”――伝説の瞬間はこうして撮られた【秘蔵写真コラム】

カテゴリ:ワールド

ハビエル・ガルシア・マルティーノ

2020年03月18日

歓喜の和に吸い込まれるような錯覚に――

開催国ドイツを破り、歓喜するイタリアの面々。その中心にいたのは、もちろんデル・ピエロである。 (C) Javier Garcia MARTINO

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普段とは違う位置にいたハビエル氏の下へ駆け寄ってきたデル・ピエロ。 (C) Javier Garcia MARTINO

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 それまで取材申請をした全試合でピッチでの撮影を許されていた私も、ドイツ対イタリア戦だけは、撮影パスを貰うことができず、ウェイティングリストに名前を書いてピッチ入場許可を待つこととなった。

 幸いなことに、試合前のぎりぎりの段階で私の名前が呼ばれ、ピッチに入ったのだが、良い撮影ポジションは全て埋まっていて、唯一空いていたのはタッチライン沿いのみ。普段はゴールラインのコーナー寄りで撮影する私にとって、そこは不慣れな位置だったが、文句を言える状況ではなかった。

 だが、横からではどうしても良い画を押さえることができない。ボールを持ってゴールに向ってくる血気溢れる図が撮れないのだ。

 いい写真が撮れないうえ、延長戦に持ち込まれた試合もスコアレスのまま、タイムアップが迫る。不満ばかりが募っていた時、信じられないことが起きた。

 119分にイタリアのファビオ・グロッソが均衡を破る得点を決めてから3分後、試合の趨勢を定める追加点をマークしたアレッサンドロ・デル・ピエロが、タッチライン沿いで燻っていた私の方へと駆け寄り、カメラのど真ん前で喜びを爆発させるという最高のシャッターチャンスをプレゼントしてくれたのだ。

 しかも、フレームに収まったのは、デル・ピエロの咆哮だけではなかった。

 タイムアップ寸前に勝利を決める感動的なゴールを祝福するため、イタリア代表の選手たちが一斉にベテランFWの下へ、つまり私の目の前に集まったからだ。その光景を撮りながら、私もその歓喜の輪の中に吸い込まれるような錯覚に陥った。

 あとで分かったのだが、私の背後のスタンドにはデル・ピエロの家族がいたそうで、彼があそこに走り寄ったのはそのためだった。

 ピッチレベルでの撮影がほぼ不可能だった試合、しかも不慣れなポジションだったにもかかわらず、素晴らしい瞬間を収めることができた幸運にどれほど感謝したことか。その後、決勝戦でもイタリアを応援したことは言うまでもない。

 今、世界各国で新型コロナウイルスが流行し、イタリアでも多くの死者が出ている。アルゼンチンとウルグアイでも3月に入ってから感染例が確認され始めたが、私たちはそのイタリアの例を参考にしながら早めの対策に講じるべきだろう。

 私にとって祖先の国であり、未知の国でもあるイタリア。事態が収束したら、初めて訪問する計画を立ててみようかと思っている。

文●ハビエル・ガルシア・マルティーノ text by Javier Garcia MARTINO
訳●チヅル・デ・ガルシア translation by Chizuru de GARCIA
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