悲願のCLベスト8進出!ネイマールの涙、チームの団結
いよいよ、キックオフが迫る。スタジアム内は空っぽで静寂。ただ、ところどころに横断幕が貼ってあった。「俺たちの“ウィルス”、それはパリSG」「エムバペよりハーランド」。シュールかつ静寂、といった穏やかな雰囲気である。ところがキックオフと同時に、空気が一転した。
なんとスタジアム上の夜空に、轟音とともに美しい花火が次々打ち上げられたのだ。場外に詰めかけたサポーターたちが、すぐそばから打ち上げた花火だった。花火の音と光に込められたサポーターたちの怒りと熱狂のエールが、選手たちにひしひしと伝わり始める。花火はその後も続き、選手たちの背中を押し続けた。
外ではサポーターたちも新たな発見をしていた。「すごくいいのは、外にいると発煙筒も花火も問題なくできることだね!」。確かにスタジアム内部では禁止されてしまったが、外なら自由だ。
こうしてパリ高級住宅街の人々は、まるで7月14日の革命記念日かと見まがうようなお祭り騒ぎに遭遇することになった。
なんとスタジアム上の夜空に、轟音とともに美しい花火が次々打ち上げられたのだ。場外に詰めかけたサポーターたちが、すぐそばから打ち上げた花火だった。花火の音と光に込められたサポーターたちの怒りと熱狂のエールが、選手たちにひしひしと伝わり始める。花火はその後も続き、選手たちの背中を押し続けた。
外ではサポーターたちも新たな発見をしていた。「すごくいいのは、外にいると発煙筒も花火も問題なくできることだね!」。確かにスタジアム内部では禁止されてしまったが、外なら自由だ。
こうしてパリ高級住宅街の人々は、まるで7月14日の革命記念日かと見まがうようなお祭り騒ぎに遭遇することになった。
そしてパリSGは、チーム精神を発揮しながらドルトムントを下し、悲願だった準々決勝進出を達成。試合後には選手たちがピッチを抜け出して階段を駆け上がり、スタジアムのバルコニーに姿を現すと、仕切りによじ登り、上半身裸になってユニフォームを振り回した。
外で待ち構えていたサポーターと一体化し、みなが飛び跳ね、勝利に陶酔し、感激の涙を流すという、前代未聞の光景が完成。勝利の立役者のひとりであるネイマールは、しばらく幼児のように泣きじゃくっていた。本当の意味で、パリSGが団結した瞬間だった。
その後しばらく、パリ地方一帯には、夜中すぎまで車のクラクションが鳴り響き、「まるで2018年か1998年のよう」「明らかにパリSGの歴史に残る試合」(現地紙『L'Equipe』)になった。
マンオブ・ザ・マッチに選ばれたファン・ベルナトは、「パルク・デ・プランスに到着したときのサポーターの歓迎が、僕らに特別なモチベーションを与えてくれた。僕らに力を追加注入してくれたんだ」と告白。同じく大活躍したキンペンベも、「最も美しい手法で応援してもらった。僕のパリSGでのキャリアでも、最も美しい瞬間になった」と感慨深げに感謝を述べていた。見事にキャプテンシーを発揮したマルキーニョスは、「僕らはパーソナリティーを見せた」とコメントした。
そしてトゥヘル監督はと言えば、こう語っている。「みなで、一緒に苦しんだと思う」――。
苦境や危機のなかでこそ、一緒に苦しみ、そこから団結し、前に進む。これが全てに共通する教訓かもしれない。CLにおいて「厄払い」に成功したかどうかは後になってみないと分からないが、今はウィルスの脅威にも負けなかったパリジャンたちに拍手を送りたい。
取材・文●結城麻里
test by Marie YUUKI