「リアリスト」を自認するアルベルト監督、「3-0というスコアに勘違いを起こしてはいけない」
開幕の群馬戦は、強烈な風の中で行なわれた。あらかじめ地面に伏せられていた広告ボードが、あおられ、吹き飛ぶほどの強風だった。0-0で折り返した前半は風下で、放ったシュートもわずかに1本。しかし、そんな強風下で背後を突かれることにおびえ、チーム全体が下がってしまうのではなく、ラインを高く保ち続けたところに、キャンプからの取り組みが垣間見えた。80分過ぎまで試合は動かなかったが、82分に渡邉新太、86分にロメロ・フランク、88分にファビオがゴールネットを揺さぶり、3-0で勝利した。
「私はリアリスト」と自認するアルベルト監督は、「3-0というスコアに勘違いを起こしてはいけない。とても難しい状況の試合での、難しい勝利だった」と群馬戦を振り返る。重要なのは、選手たちが新たな取り組みに対し、勝利という結果で自信を増したことだ。
チームは発展途上で、完成には数か月を要するが、アルベルト監督はその間も勝ちを重ねていかなければならないと、事あるごとに繰り返す。完成の域に、一足飛びにたどり着くことはできず、1試合ずつ戦っていくしか道はないと、選手はもちろん、メディアを通してサポーターにも発信し続けるアルベルト監督は、まさしくリアリスト。チームはリーグの中断中、「次の試合」に向け、地に足を着けて全力で準備を進める。
取材・文●大中祐二(フリーライター)