「守備的MFとして機能していない」と指摘されたヘンダーソンを…
無論、クロップが選手の望みをすべて聞き入れるということはない。むしろその逆で、すべての名将がそうであるように、彼も頑固で自分の信念を貫くタイプだ。
事実、前述のヘンダーソンの起用法を巡る件でも、長らくファンやメディアが、「ヘンダーソンが守備的MFとして機能していない」「なぜわざわざ獲得したファビーニョとケイタを使わないんだ」と批判し続けていたが、頑として聞き入れることはなかった。
ただ、変化を加えたことで、チームに恩恵があると判断すれば、それを受け入れる柔軟なスタンスを持っている。それこそがクロップ流だ。
昨夏にチームに加わったファビーニョやケイタは、大金を費やして獲得されたにもかかわらず、出場機会が制限された。これは、2017年の夏にハル・シティから加入し、今では世界最高クラスの左サイドバックとなったアンドリュー・ロバートソンの起用法と同じである。
クロップは、ゆっくりと時間をかけてチームに馴染ませ、自らが納得した段階で、ようやく継続した出場機会を与えていくのである。日本のファンはもどかしく感じるかもしれないが、プレミアリーグの水に慣れていない南野拓実も同じような起用法になるはずだ。
事実、前述のヘンダーソンの起用法を巡る件でも、長らくファンやメディアが、「ヘンダーソンが守備的MFとして機能していない」「なぜわざわざ獲得したファビーニョとケイタを使わないんだ」と批判し続けていたが、頑として聞き入れることはなかった。
ただ、変化を加えたことで、チームに恩恵があると判断すれば、それを受け入れる柔軟なスタンスを持っている。それこそがクロップ流だ。
昨夏にチームに加わったファビーニョやケイタは、大金を費やして獲得されたにもかかわらず、出場機会が制限された。これは、2017年の夏にハル・シティから加入し、今では世界最高クラスの左サイドバックとなったアンドリュー・ロバートソンの起用法と同じである。
クロップは、ゆっくりと時間をかけてチームに馴染ませ、自らが納得した段階で、ようやく継続した出場機会を与えていくのである。日本のファンはもどかしく感じるかもしれないが、プレミアリーグの水に慣れていない南野拓実も同じような起用法になるはずだ。
話は少し脱線するが、ロバートソンが入団する際、このスコットランド代表DFにまもなく第一子が誕生することを知らなかったクラブ関係者の一人を、クロップが「なんでそんなことを知らないんだ!? 人生で最も重要なビッグイベントなんだぞ!」と叱咤したのは有名な話である。
クラブを「ファミリー」と形容し、サポーターと一緒にパブでビールを飲む、ある意味で“昭和な”監督。その人間味が魅力で、クロップの会見場は常に笑いが絶えない。
快活で豪快な笑い方や話しぶりは、聞いている人を愉快な気持ちにさせる。英公共放送『BBC』のラジオ・インタビュー後に、インタビュアーのジュリエット・フェリントンが、「リバプール・ファンでもそうでない人にとっても、ユルゲン・クロップは愛すべき人間」と言ってしまったのも納得だ。
フェリントン記者の言葉のとおり、人の心を掴んで離さない52歳を悪く言うサッカー・ファンは、英国内にそう多くないのではないだろうか。ましてや、クラブ内部の人間であれば、彼の魅力に惹きつけられることは確実だ。
きっと、南野もこのドイツ人指揮官に魅せられるはずだ。これまでにクロップが獲得してきた選手の多くがそうだったように、アンフィールドの地でこの熱血漢の薫陶を受け、さらなる飛躍をしてくれることに期待したい。
取材・文●松澤浩三
Text by Kozo MATSUZAWA