出番が減ってきたここ数年は、いつ区切りをつけるかずっと考えていた
30歳を過ぎてからも他クラブからのオファーはあったし、どうすべきか考えている姿も見てきた。今後の人生設計など、いろいろシミュレーションしていたのだろう。条件面だけなら、もっといいオファーもあったと思う。でも最後は、いつもマリノスへの愛情が勝った。
出番が減ってきたここ数年は、いつ区切りをつけるかずっと考えていた。「ずっとマリノスの選手でいたい。でもオレがいたら1枠使ってしまうわけで、例えばそれで若手がひとり入れなくなる」と悩んでいた。どこまでも物事を俯瞰して考えている男だなと感心させられた。
出番が減ってきたここ数年は、いつ区切りをつけるかずっと考えていた。「ずっとマリノスの選手でいたい。でもオレがいたら1枠使ってしまうわけで、例えばそれで若手がひとり入れなくなる」と悩んでいた。どこまでも物事を俯瞰して考えている男だなと感心させられた。
プレースタイルだけを切り取るとフィジカルやヘディング、豪快といった類のワードが並ぶのだと思う。でも実際はとても思慮深く、繊細で、気遣いの人だ。自分自身を「アスリート向きではない」と話すのは、違う仕事や役割にも適正がある新たな可能性と考えていい。
これからの活躍の場は、現場での指導者か、はたまたバックオフィスか。いずれにせよ選手生活が終わってからも、勇蔵はトリコロールの一員のままだ。ファン・サポーターにとって、これ以上の形はない。
文●藤井雅彦(ジャーナリスト)
【栗原勇蔵PHOTO】マリノス一筋18年!リーグ優勝とともにピッチを去り、天国の松田氏にも・・・
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