同僚の長谷部は「今は垂直くらいに成長している」と評価
とはいえ、今の日本代表の絶対的トップ下はご存じの通り、2次予選3戦4発の南野だ。新体制発足から1年で10ゴールを挙げている最大の得点源を森保一監督もそう簡単には動かさないだろう。鎌田にとっては厳しい状況ではあるが、フランクフルトで培った経験値を生かしながら「ゲームメークも得点もできるトップ下」であることを実証するしかない。今回のキルギス戦で与えられる時間はそう多くなさそうだが、「ドイツに戻るために得点に強くこだわった。むしろその仕事しかしてない」というシント=トロイデン時代のように、割り切って目に見える結果に集中することも重要ではないか。
一方で、今季無得点が続くフランクフルトでもここから数字を残していく必要がある。
「今季はELやブンデスリーガ、ポカールもありますし、焦らずにやっていけば、シーズン通して7点8点くらいは取れると思う。アシストと得点で『8・8』とか『7・7』とかに持っていけばいい。今は我慢しながら待たないとダメかなと思います」と本人も話していたが、ゴールへの道筋をいち早く見出さなければならない。
その結果、数字がついてくれば、森保監督も南野依存状態からの脱皮を真剣に考えるはず。今回のキルギス戦がひとつのきっかけになれば、彼自身にとっても理想的なシナリオだ。代表前キャプテン・長谷部誠が「大地はサッカーのインテリジェンスが非常に高い。今は垂直くらいに成長している。それを続けていくことが大事」と太鼓判を押す潜在能力の高さを今こそ、思い切って前面に押し出してほしいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)