• トップ
  • ニュース一覧
  • 高校でサッカー部に入らず「遊んで暮らしていた」土屋征夫は、いかにしてプロ選手となり45歳まで現役を続けられたのか?

高校でサッカー部に入らず「遊んで暮らしていた」土屋征夫は、いかにしてプロ選手となり45歳まで現役を続けられたのか?

カテゴリ:特集

小須田泰二

2019年11月06日

「日本に帰りたい」と伝えた土屋に父親が返した言葉は…

東京23FCでは2シーズンにわたってプレー。今季開幕前に愛妻にのみ引退の意思を伝えていたという。写真:小須田泰二

画像を見る

 サッカー留学は2年間だった。「絶対にプロになってみせる!」と心に決めたものの、ブラジルでは多くの壁にぶつかった。周りのレベルが高いのは当然として、4年間のブランクが影響したのか、肉離れや捻挫などの怪我に悩まされた。さらには言葉の壁もあってコミュニケーションが取れなくてチームに溶け込めなかった。当時、日本人の留学生は200、300人くらいいたが、そのうち半分くらいは1年で日本に帰っていた。諦めて帰ろう――。1年後、土屋も夢半ばで帰国することを考えた。そしてブラジルから実家にいる父親に国際電話をかけた。

「それで日本に帰りたいって伝えたら、『帰ってくるな! お前が行くって言ったんだろ。2年間行くって言ったんだから、1年で帰ってくるなんて許さない』と。父親に叱られたことがほとんどなくて、このときも『帰ってこい』と言ってくれると思っていたんですが……。その言葉で、自分は何をやっているんだって思い直して、2年目は本気で頑張りました。この1年間やってプロになれなかったら辞めようと。あそこで、やり続けようっていう気持ちが自分の中にすごく育って。親父のためにも負けちゃダメなんだって。それまで自分はすごいガキで考えが甘かった。そこで一気に大人になりました」

 J1・J2リーグ合わせて通算511試合に出場。Jリーグでこれほどのキャリアを積んできた選手は数えるほどしかしない。2001年に日本代表候補合宿に一度だけ呼ばれたことはあるが、土屋には「日本代表」の肩書きがない。まさに“雑草魂”を武器に、ここまで戦ってきたという自負がある。

「511試合か……。ホント、自分でもよくやったなって思います(笑)。なぜここまでやってこれたのかって? 毎年毎年必死にやってきただけですよ。負けず嫌いな性格なのもありますけど、あとは、大好きなサッカーをしてお金をもらえるなんて最高じゃないですか。だから絶対に手放さないっていう気持ちでずっとやってきましたね。まあでも、やっぱり1年目の経験が大きかったですよね。あのヴェルディ時代の経験がつらすぎて……」

 土屋が話した“つらすぎる経験”とは、ブラジルの3つのクラブでプレーしたあと、次の夢であるJリーグでのプレーを目指すべく、1997年に帰国してヴェルディの練習生になった頃のことだ。当時のヴェルディは、ラモス瑠偉、柱谷哲二、カズ(三浦知良)、高木琢也、北澤豪などが名を連ねる、まさにスター軍団だった。

「今振り返ってみても、すごいメンツですよね。日本代表選手ばかり。みんなすごく上手くて自分は超下手。最初は練習生だったんですが、トップチームの練習についていけなくて。当時のユースには平本一樹や飯尾一慶とかいて、あいつらもすごく上手いし……。この中でやっていけるかな、キツいなっていう感じでした。高校を卒業してブラジルでは3つのクラブでプロとしてやらせてもらってたんですが、まったく甘かったですね(笑)。毎朝起きるのが嫌でした。ああ、また今日もずっと怒られるんだろうなって。そう思いながら、よみうりランド(の練習場)に通っていました。あそこで諦めていたら、プロにはなれなかったでしょうね。でも、親父のおかげでブラジルに行けて、ブラジルで必死になれたからプロになれて、あのときヴェルディの人たちに認められようって必死になって食らいついたから、プロとしてやれる自信がついた。エリート集団の中から這い上がってみせる、負けてたまるかって、“雑草魂”だけで頑張ってきた感じです。当時はつらかったけど、今は感謝しかないですね。あのときがあったからこそ今があるので」
 
【関連記事】
【セルジオ越後】2チーム編成の日本代表で注目したいのは古橋とオナイウ!怪我がなければ見たかったのは…
1年後にモドリッチが引退して久保建英を後継者に据える――マドリーの「仰天プラン」を地元メディアが報じる!
「日本は引退しに来るところではない」「大変な要求をされる」イニエスタが海外メディアにJリーグを語る!
引退も掠めた? 外国人枠増や契約問題まで… 中村俊輔が残留決定後に注目発言を連発!
伊メディアが “引退が早すぎた選手たち”を選出! 元ローマの中田英寿を「今もファンの記憶に鮮やかに残る」と称賛

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ