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激化するJリーグへの“青田買い”の波。小笠原満男&遠藤保仁のキャリアが示す海外だけがその道ではないワケ

カテゴリ:Jリーグ

二宮寿朗

2019年09月25日

「失敗」を「成功」に変えてあげればいい

今夏にG大阪に復帰した井手口。欧州では結果を残せずも、Jでその「失敗」を「成功」に変えられるか。(C)SOCCER DIGEST

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 一方、海外にチャレンジして活躍できなくても、「失敗」を「成功」に変えてあげればいいだけのこと。
 
 たとえば小笠原満男。鹿島の大黒柱であった彼は2006年のドイツ・ワールドカップ後にセリエAのメッシーナに移籍したが、1年通してリーグ戦は6試合の出場。ベンチメンバーに入ることすらままならなかった。
 
 彼にメッシーナ時代の話を聞いたことがある。
 
「単純に言ったら、試合に出られなかった1年。でも自分のなかでは収穫があって、毎日が凄く充実していた。アントラーズではほぼ毎試合のように使ってもらっていたけど、向こうに行ったら“誰だ、このアジア人は?”という目で見てくるし、紅白戦にすら出られないことがあった。チキショーって思いましたよ。ぜってえ、コイツらには負けねえって。そういう想いで練習したのが新鮮で、それってアントラーズに入った当時の、ポジションを奪いたいっていう気持ちとか子どものころの上手くなりたいっていう気持ちに似ていました」
 
 彼が腐ることはなかった。イタリアでの日々が成長をもたらした。鹿島に復帰後、チームは史上初のリーグ3連覇を成し遂げ、2009年には30歳でMVPに輝いた。イタリア仕込みの激しい守備が、小笠原の新たな武器となったのは言うまでもない。
 
 今夏、宇佐美貴史、井手口陽介が欧州から古巣のガンバ大阪に戻ってきた。現時点において海外で活躍できなかったのは確かだが、異国の地で得たものをこれから発揮すれば良いだけの話。成長にはいろんなルートがあるのだから。

 挑戦に向かう気持ちは尊重してあげたい。しかしながら海外に行くことだけがその道ではないことも提示したい。そのためにはJリーグが海外に負けないだけの魅力を生み出していかなければならない。
 
 そしてもうひとつ、海外で長くプレーする実績のある選手を日本に呼び戻す流れも作りたい。長谷部誠や本田圭佑らが「もう一度日本でやってみたい」と思えるようにならなければならない。これもチャレンジだ。
 
 選手もクラブも前向きに挑戦していく姿勢こそが、日本サッカーの発展を呼び込む、なによりの要素なのではないだろうか。
 
取材・文●二宮寿朗(スポーツライター)
 
※『サッカーダイジェスト9月26日号』より転載
 
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