「ゲームの流れを見ても非常に重要なプレーだった」
ミックスゾーンに現われたセランテスは「ウレシイ、ウレシイ」と日本語を連発。そして、チームを救ったビッグプレーを次のように振り返った。
「ほぼ止めるのは不可能と言えるようなシュートだったが、これまでに不運なゴールもあったなかで、やっと運が自分に味方してくれたかなという感覚だった。
先に失点してしまうと難しくなってしまうというのは分かっていた。あの時点でチームをビハインドにしなかったことがポジティブな結果につながったと思う。ゲームの流れを見ても非常に重要なプレーだったので自然にガッツポーズが出た」
そして、意図的にボールを叩きつけたのかと尋ねると、
「意図的なものではない。そんなことができるのは次元が違うGKだけだよ」と照れ笑いをしながら答えた。
だが、あのプレーはまさに次元が違うプレー。それは決して運ではなく、日々の積み重ねと、ストイックに自分を磨いた結果だ。
独学で学んでいる日本語で、まるで何年も日本でプレーしているかのように細かいコーチングを送る姿が、それを物語っている。彼こそ次元が違うプレーヤー。それは福岡サポーターが知っている。
取材・文●中倉一志(フリーライター)