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【三浦泰年の情熱地泰】ブラジル編|プロの世界に「パワハラ」は存在しないと僕が思うワケ

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2019年08月21日

監督には「解雇された監督」と「これから解雇される監督」しかいない

ブラジル代表や数々のビッグクラブを率い、名将の誉れ高いルイス・フェリペ・スコラーリ監督(現パルメイラス監督)も、幾多の「解雇」を経験し、様々なステージで辣腕を振るってきた。(C) Getty Images

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 日本のサッカー界ではこんな事を言う。世界に通用するクリエイティブな選手を育てるためには「褒めて伸ばす、褒めて伸ばす」。
 
 詐欺みたいな話だ……。褒められた事しか経験のない人が「褒められた」といつ感じられるのだろう? もちろん耐えられる厳しさの度合いは人によって違う。
 
 でもその世界を極めたいなら、厳しさに飢えるべきというのが僕の持論だ。逆に「褒めて伸ばす」という風潮が強くなっているのは、近年厳しさに耐えられる選手が減っていることも、理由のひとつに挙げられるだろう。そしてそれは、日本だけでなく世界的にもそうなっているのかもしれない。
 
 だが、ブラジルで「パワハラ」という言葉はあまり聞いた事はない。特にスポーツ界ではほとんどない。厳しくした方が辞めることになったら、その世界は偽物だ。
 
 プロは基本的に、厳しさを欲してなければいけない。だから、選手を束ねる人は、他人にも自分にも厳しくなければいけない。そして厳しくする人はその厳しさに耐えて打ち勝った人に感謝して、「ありがとう」と言える人でなければいけない。
 
「パワハラ」とは言った言葉ではなく、なぜその言葉を使ったかが大事なのだ。これを言った意図が大事なのだと思う。
 
 彼を成長させたい、彼を成功させたい、彼を一人前にさせたい、彼らを勝たせたい――。そう思って言ったか、どうかが大事なんだと思う。
 
 自分の権力、自分の立場を守りたい。相手の気持ちも考えないで自分の事しか考えていない。それでは監督ではないし、そんな小さな了見で監督としての仕事を全うすることはできないだろう。
 
 自分の立場を守るために、選手やスタッフの能力を潰してはチームが強くならないし、勝てなければ責任は現場の人間にあり、負けたら解雇されるのは常だからだ。
 
 プロサッカーの世界における監督の置かれた立場については、こんな格言がある。
 監督には「解雇された監督」と「これから解雇される監督」しかいない――。だからプロ契約のスポーツの世界には「パワハラ」は存在しない。
 
 成績が付いて来なければ選手全員を解雇はできない。ひとりを解雇するしかない。それは監督なのだ。そんな弱い立場が監督だ。
 
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