上位チームとの連戦で真価が問われる
何度も繰り返されるサイドチェンジが、どれだけ厄介か。ディフェンダーだからこそ、守っている時の心理が分かる。
「サイドを変えられればスライドして対応することになるけど、たとえピンチになりかけても、それが1回目とかだったら、こちらも集中しているし頑張れる。だけど何回も変えられていると、そのうちに“仕掛けてこないのかな”、“だったら、寄せもこのくらいでいいかな”と、知らず知らずのうちに隙が生まれてしまう」
堀米がプレー中に感じていながら、チームで共有・表現し切れなかった攻撃の糸口。山形戦は、チームレベルで心理戦に敗れたと見ることもできる。『ボールを持たされる』は、守備ではめられ、パスの出しどころがなく、『サイドを変えさせられてしまった』というアナロジーでもある。
自分たちがボールを握っているのだから、主体的にサイドを変え続ければよかったのだ。それは、ピッチ内で選手たちが密にコミュニケーションを取りながら改善すべきだったのか、そこにベンチワークのサポートが施されるべきだったのか、そもそもチームのグランドデザインとして、事前にトレーニングで落とし込まれておくべきものだったのか。
いずれにせよ、試合を戦いながら、その力を高めていかなければ、プレーオフ圏内まで浮上するのは難しい。個の力で打開できる相手であればいい。だが、“新潟はボールを持たせておけば恐くない”と言えるだけの守備力と、要所で決め切る攻撃力を備えた相手であれば、話は別である。
現在10位の新潟は、今週末、8月17日に9位のファジアーノ岡山と、翌週に8位のツエーゲン金沢とホームでの連戦を迎える。さらに8月最後の30節では首位・柏レイソルのホームへ乗り込む。
8月、上位と試合を重ねながら、チームの真価が問われる。
取材・文●大中祐二(フリーライター)