ブラジルの選手は「ハングリー」。タダでは負けない、の意味とは?
残る2試合は、この遠征のメインイベントだ。サントスには完敗しているだけに、大きな試合でどれだけできるか?
前日のポルトゲーザ戦。このチームは歴史がある。
以前、5大クラブの一つであり、コリンチャンス、パルメイラス、サンパウロ、サントスの次に来るクラブであった。育成には力も入れているし良いチームと聞いていた。
サントス戦から中2日で試合をして格下レベルには勝てたが、まだ勝てていないのと同じだ。
だが彼らは内容でもスコアでも圧勝した。2−0での完封勝利である。2時間のバス移動の後でも言い訳なしの試合であった。
それでも僕は納得いかない部分があった。何か? ブラジル選手との上を目指す精神の差だ。その差は日本にはなく、逆に勝利した日本の精神はブラジルにはない。
ブラジル選手は「ハングリー」であり、この年代から「プロ」を意識しているということだ。それは何か、彼らはタダでは負けない。悔しくて、負けると思うと、トッカーノの選手の足を遅れて蹴って来るのだ……。相手の中心選手の10番は、持ったら取れないくらいのテクニシャンだ。トッカーノの選手は必死で寄せ、囲んで奪う。その切り替えの瞬間、相手10番は必ず取り返そうとする最後に、選手の足を蹴るか身体をぶつける。
彼らだけではない、ここまで戦ったすべてのチームの選手が試合開始からそうだった。トッカーノの選手が痛がる姿など何とも思っていない。同じ年代でありながら、彼らはそんなことはサッカーの世界では「当たり前」だと思っているのだ。それがボール際、戦うという意味だ。
「相手にファウルをしたらいけない。相手に痛い思いをさせてはいけない」と思いながら試合をやるトッカーノの選手との違いだ。
日本の教育は、しつけ、規律、真面目さ、ルールを守るという面では良い部分でもあるが、プロを目指す世界へ通用させるという部分ではウィークにもなる。それが日本へ戻って彼らが、格下レベルのチームとの対戦ではそうなり、強いチームとやると何もできない。そんな「メンタル」であったら、大問題だ。弱いモノには強く、強い組織には何もやれない。そんな傾向にある日本社会のように。
ただ昔のブラジルであったら、リスペクトしても勝てたのであろう。ポルトゲーザは前日、日本のチームに16−0で勝利したと自慢していたらしい。彼ららしい。前日のチームは前日のチームだ。日本を舐めてもらったら困る。
日本の心は違う。サントスに負けても次、また必死に戦うことができる。それは「コパ・アメリカ」の日本代表がチリに0-4で負けた後にウルグアイを相手に2−2の試合をしたことでも証明している。その戦いぶりには、南米中、「びっくり」なのである。
何故、0−4で負けた後に力が出るのだと? それが日本人の持つ心の強さ「諦めない気持ち」なのだ。
サッカーの本質は、彼らが持つものだと思う。悔しければズルをしてでも勝ってみろ!
ただそこから学ぶものは少なくなっている。
果たしてこの後、どのようになっていくのだろうか?
トッカーノは最終日、パルメイラスと試合をやり帰国する。彼らの年代は、日本でパルメイラスと対戦していると聞く。その時の結果は0−10で敗戦。
パルメイラスは10−0で勝ったチームとして望んでくるであろう。ポルトゲーザに良い試合をして勝利した後の最後の試合。足を蹴られ負傷した選手は今日、回復させて出て来るのか?
痛くても泣きながら、「出して欲しい」「出たい」と主張するのか? 人間は痛みから純粋さを感じる時もある。
ただ結果はどうあれ、間違いなく彼らは大きな財産を持って帰国するはずだ。
今は、ヨーロッパが主流になっている若者の志向がある。一方でブラジルは、時間にルーズで時間通りにキックオフした試合はない。バスの出発も必ず遅れる。食事も最高級ではない、部屋も高級ホテルではなく、街並もオシャレな雰囲気でない。
ただ毎日、起きれば2面のサッカー場があり、強い本気のチームが目の前に現われる。そこに本気の選手がいて、戦いが始まる。
帰りも30時間をかけて、彼らは何を感じながら、何を考えながら飛行機の中で過ごすのであろうか? きっと目の前のゲームスクリーン(TVゲーム)に喰い付くことであろうが、少しでも今後の人生にプラスになったと感じ取ってくれたらと思う。
今からパルメイラスのCT(練習会場)へ向かう。
2019年8月5日
三浦泰年
前日のポルトゲーザ戦。このチームは歴史がある。
以前、5大クラブの一つであり、コリンチャンス、パルメイラス、サンパウロ、サントスの次に来るクラブであった。育成には力も入れているし良いチームと聞いていた。
サントス戦から中2日で試合をして格下レベルには勝てたが、まだ勝てていないのと同じだ。
だが彼らは内容でもスコアでも圧勝した。2−0での完封勝利である。2時間のバス移動の後でも言い訳なしの試合であった。
それでも僕は納得いかない部分があった。何か? ブラジル選手との上を目指す精神の差だ。その差は日本にはなく、逆に勝利した日本の精神はブラジルにはない。
ブラジル選手は「ハングリー」であり、この年代から「プロ」を意識しているということだ。それは何か、彼らはタダでは負けない。悔しくて、負けると思うと、トッカーノの選手の足を遅れて蹴って来るのだ……。相手の中心選手の10番は、持ったら取れないくらいのテクニシャンだ。トッカーノの選手は必死で寄せ、囲んで奪う。その切り替えの瞬間、相手10番は必ず取り返そうとする最後に、選手の足を蹴るか身体をぶつける。
彼らだけではない、ここまで戦ったすべてのチームの選手が試合開始からそうだった。トッカーノの選手が痛がる姿など何とも思っていない。同じ年代でありながら、彼らはそんなことはサッカーの世界では「当たり前」だと思っているのだ。それがボール際、戦うという意味だ。
「相手にファウルをしたらいけない。相手に痛い思いをさせてはいけない」と思いながら試合をやるトッカーノの選手との違いだ。
日本の教育は、しつけ、規律、真面目さ、ルールを守るという面では良い部分でもあるが、プロを目指す世界へ通用させるという部分ではウィークにもなる。それが日本へ戻って彼らが、格下レベルのチームとの対戦ではそうなり、強いチームとやると何もできない。そんな「メンタル」であったら、大問題だ。弱いモノには強く、強い組織には何もやれない。そんな傾向にある日本社会のように。
ただ昔のブラジルであったら、リスペクトしても勝てたのであろう。ポルトゲーザは前日、日本のチームに16−0で勝利したと自慢していたらしい。彼ららしい。前日のチームは前日のチームだ。日本を舐めてもらったら困る。
日本の心は違う。サントスに負けても次、また必死に戦うことができる。それは「コパ・アメリカ」の日本代表がチリに0-4で負けた後にウルグアイを相手に2−2の試合をしたことでも証明している。その戦いぶりには、南米中、「びっくり」なのである。
何故、0−4で負けた後に力が出るのだと? それが日本人の持つ心の強さ「諦めない気持ち」なのだ。
サッカーの本質は、彼らが持つものだと思う。悔しければズルをしてでも勝ってみろ!
ただそこから学ぶものは少なくなっている。
果たしてこの後、どのようになっていくのだろうか?
トッカーノは最終日、パルメイラスと試合をやり帰国する。彼らの年代は、日本でパルメイラスと対戦していると聞く。その時の結果は0−10で敗戦。
パルメイラスは10−0で勝ったチームとして望んでくるであろう。ポルトゲーザに良い試合をして勝利した後の最後の試合。足を蹴られ負傷した選手は今日、回復させて出て来るのか?
痛くても泣きながら、「出して欲しい」「出たい」と主張するのか? 人間は痛みから純粋さを感じる時もある。
ただ結果はどうあれ、間違いなく彼らは大きな財産を持って帰国するはずだ。
今は、ヨーロッパが主流になっている若者の志向がある。一方でブラジルは、時間にルーズで時間通りにキックオフした試合はない。バスの出発も必ず遅れる。食事も最高級ではない、部屋も高級ホテルではなく、街並もオシャレな雰囲気でない。
ただ毎日、起きれば2面のサッカー場があり、強い本気のチームが目の前に現われる。そこに本気の選手がいて、戦いが始まる。
帰りも30時間をかけて、彼らは何を感じながら、何を考えながら飛行機の中で過ごすのであろうか? きっと目の前のゲームスクリーン(TVゲーム)に喰い付くことであろうが、少しでも今後の人生にプラスになったと感じ取ってくれたらと思う。
今からパルメイラスのCT(練習会場)へ向かう。
2019年8月5日
三浦泰年