【高校選手権/代表校レポート】静岡・静岡学園|葛藤混じりの速攻に活路

カテゴリ:高校・ユース・その他

平野貴也

2014年11月16日

「本当に“なにくそ”とう気持ちだった」

この旗手と中澤を軸とした縦に速い速めが、今年の静岡学園の特徴だ。 (C) SOCCER DIGEST

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 速攻中心のオープンな展開は、消耗を強いられる。それでも破綻することなく勝ち上がれたのは、夏の鍛錬の賜物だ。
「夏にかなり鍛えたことで、身体が動くようになった。サポートやファーストディフェンスが速くなった。そのあたりが改善されてきた」
 川口監督はそう話しながら、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
 
 練習後の疲労した状態で長短の素走りを課した。活動拠点としている谷田グラウンドは山手にあるが、ある日には、そのままさらに山を登るランニングを40分。また、ある日はゴールラインからハーフウェーラインまでのダッシュを50本。日替わりで、練習後に長距離、短距離と走ることで体力を強化した。
 
 主将を務める石渡旭は、「試合の後にもやった。本当に“なにくそ”という気持ちだった。負けるものかと思ってやっていた。でも、やってきてよかったと思う。精神面と体力面を鍛えられた」と振り返る。
 
 新人大会、インターハイ予選はいずれもベスト8止まり。しかし、「今年のチームが、まさか県の頂点に立つとは思わなかった」との指揮官の見立てをいい意味で裏切り、大島僚太(川崎)を擁した第89回大会以来、4年ぶりとなる全国大会の出場切符を獲得した。本番に向けて、川口監督は次のように語る。
「(県大会)決勝戦は前半に飛ばしすぎて、後半は体力が落ちていた。スタミナ強化を図らなければならない。それから、一発勝負ではセットプレーで決めるチームが強いので、それも練習していきたい。それに、うちは新しいメンバーが出てこないとダメ。多分、全国では違うメンバーが先発に名を連ねていると思う」
 
 たしかに、進化の余地は大きく残しているチームだろう。県大会決勝で途中出場した背番号10の名古新太郎は、肉離れの負傷明けで本調子ではなかった。抜群の得点力を誇る2年生加納澪など、楽しみなタレントも少なくない。
 
 ただ、この選手権を速攻スタイルで戦うことは間違いなさそうだ。例年とは一味違う静岡学園は楽しみであり、また大会のひとつの見どころだろう。
「ダサい勝ち方だな」
 川口監督のそんなつぶやきが、何度聞かれるだろう。
 
静岡県予選 決勝戦短評
静岡学園 1-0 藤枝東
得点者/安原
 
 静岡学園が序盤から圧倒した。両ウイングの高速ドリブルを起点とする攻撃でゴールへ迫り、16分、右からのクロスに安原がファーサイドで合わせて先制。37分にも右サイドを崩して決定機を作り出した。ただし、後半はやや失速。藤枝東はサイドで起点を作り切れずに苦しんだが、70分に長身FW松田を投入。試合終了間際、その松田のヘッドからゴール前で混戦になったところを押し込んだが、ファウルの判定でノーゴール。静岡学園が1点を守りきり、4年ぶりの出場を決めた。
 
取材・文:平野貴也(フリーライター)
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