【6月シリーズ総括】最大の収穫は? 価値が高かった永井の活躍と久保の台頭

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2019年06月10日

中島、南野、堂安の関係性は共存から競争へ

チームの競争を煽る意味で久保の活躍は見逃せなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 怪我を理由に代表招集を辞退した鈴木武蔵、その代役として追加招集された永井の特長のひとつはいずれもスピード。そこから推察できるのは、森保一監督はワールドカップのアジア予選を戦い抜くうえで彼らのような“スピードスター”も必要だと考えているのではないかということだ。
 
 その意味で、永井という選択肢がはっきりと加わったのは“大迫依存症”を解消するためにもポジティブな材料だ。強くて上手い大迫は森保ジャパンにとって唯一無二の1トップ。彼ほど最前線でボールを収められる日本人選手は現時点で見当たらないし、そんな大迫と同じようなプレーを別のCFに求めるのは酷だ。ならば大迫が不在時は攻撃そのものの手段を変えなければならないわけで、そのひとつとして永井のスピードに頼ったアタックは大きなオプションになり得る。
 
 永井の特長は分かりやすい。ひと言で言えば、とても速いのだ。活動期間が限られていて連係を築くのに苦労する代表チームにとって、この“分かりやすさ”は重要なファクターだ。永井のスピードを生かそう、ならば裏のスペースに蹴ってみるか、そういう選択肢がパッと思い浮かべられるだけで、やっている選手たちはだいぶ違うのではないか。
 
 実際、永井の1点目も、ひとつの決め手となったのは冨安健洋のスルーパス。「スピード自慢の永井なら届くだろう」というようなパスで、CFが大迫だったらあそこであのスルーパスは出なかったもしれない。
 
 久保の活躍もひとつのトピックだろう。FC東京の試合を見慣れている方は「あれぐらいは当然」と思うかもしれないが、A代表デビュー戦でいきなりふたり抜きを披露するなど独特の雰囲気の中、「短い時間でしたが、自分がやれることは示せた」のは良かった。
 
 森保体制下で主力級と思われていた中島翔哉、堂安、南野に割って入る形で久保が台頭してきたことは、チーム内の競争意識を高める意味で有意義。競ってこそチーム力が高まる日本代表にとって久保は、良い刺激になっているはずだ。いずれにしても、これまで共存が強調されていた感のある中島、堂安、南野の関係性が競争に変化しつつあるのは良くも悪くも見逃せない事象だろう。
 
 守備陣に目を向けても、冨安健洋らの奮闘によりCBの争いが激しくなりそうな印象。冨安に加え、昌子源の成長によっては、吉田麻也も不動とは言い切れなくなりそうだ。
 
 6月の2試合を経て感じたのは、組織力が高まったというより、今後使えそうな駒が増えたかもしれないということだ。若手主体で臨むコパ・アメリカで久保のようなヤングプレーヤーが躍動すれば、チーム内にさらなる刺激を生むはずである。
 
いずれにしても、レギュラーがほぼ固定されていた1月のアジアカップに比べれば、選手の選択肢は増えた感がある。そう考えれば、6月のテストは有意義だったという結論に行き着く。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
【関連記事】
【日本代表】久保建英はなぜFKを蹴らなかった? その場面で橋本拳人にかけられた言葉とは…
【エルサルバドル戦|動画&記事一覧】解説:セルジオ越後、釜本邦茂、採点&寸評、プレー分析、各国メディアの評価、PHOTOギャラリーetc.
【日本代表】久保建英の衝撃。驚愕のふたり抜き、中島との華麗なワンツー
「久保は“最悪のプレーヤー”」。長友が18歳のアタッカーに最大級の賛辞
「そりゃあ、楽しかったですよ」。久保が代表デビュー戦で掴んだ手応え

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ