「戦う集団になろう」と話した久藤新監督。攻撃的なスタイルの確立へ前進し続ける覚悟を見せた
その要因のひとつに「アビスパスタイルの確立」というキーワードがある。過去4シーズンの戦いを振り返る中で川森敬史代表取締役社長が今シーズンを始めるにあたって取り組んだのは「変わらぬアビスパの戦い方」を明確にすること。そのモデルプランを作成し、その実現のためにペッキア前監督を招聘した。言い換えれば、福岡が求めたのはペッキア前監督のスタイルではなく、彼が持つノウハウでアビスパスタイルを確立させること。もちろん、そのノウハウを失ったことの影響は少なくはないが、福岡が求めるべき道、そしてチームがやるべきことには少しの変化もない。若干の動揺を覚えながらも、選手はそれを十分に理解しているようだ。
監督就任にあたって「自分も覚悟を持ってやるので、もう一度覚悟を持って集まってくれ」と選手に伝えた久藤監督。初日のミーティングでは「戦う集団になろう。練習が試合にそのまま出てくる。日常を大切にしよう」と話した。目指すのはJ1昇格と、アビスパスタイルのベースとなる攻撃的なサッカーの確立。ペッキア前監督が残していったノウハウに自分らしさを加え、スタッフ、選手と手を取り合いながら、前進し続ける覚悟だ。
取材・文●中倉一志(フリーライター)