――プレミア同士の対決は11年ぶりです。

「面白いですよね、プレミアリーグの戦いはお互いに仕掛けるし、フットワークもあるし、いわゆるパスサッカーを凌駕するシステムが出来上がりつつあると思うんです。例えば、バルセロナみたいなサッカーを超えるスタイルというか。間違いなくバルサやレアル・マドリーみたいなサッカーを倒すために考えた結果、新しいスタイルが生まれているんじゃないかなと。

　バルサで考えれば、ブスケッツが入れたボールに反応してメッシ、スアレスが動いて、サイドも上がってくる。ならばボールホルダーにプレッシャーに行けばいい。ただ、守備側がボールホルダーに付くことでスペースが生まれ、隙が生まれる。あのレベルで隙が生まれることは致命的なわけです。そこをリバプールはスペースを埋めながらもパスコースを切ってプレスに行くスタイルで、ポゼッションやパスサッカーを防ぐための進化をしている。

　こうなったら、次にどんな手を打ってくるのかというのも楽しみになってくる。これもCLの醍醐味ですよね」

――クロップもポチェッティーノの戦術対決も見どころですよね。もし選手であれば、どちらの監督についてみたいですか？

「僕は単純なので…クロップのほうが（笑）。リバプールというチームに魅力を感じているのはもちろん、チームのためにという精神が皆に宿っているのはやはり、彼の手腕ですよね。元選手として、うらやましさはあります。監督だって人間ですし、なかなか選手全員をフラットにみられる監督というのは少ないですよね。

　それでも、自分が良い時を見極めて使ってもらえるというか。ジョルジニオ・ヴァイナルドゥムが、試合前に起用されないことに怒っていましたけど、バルサ戦の大事な局面で使ってもらい、結果を残している。あの起用には、やっぱり選手をずっと見ているからこそだなと思いましたね。

　でも、準決勝第２レグでポチェッティーノが涙していた姿は、グッときました。普段はコメントもそうだし、メディアでもクールなイメージがありますが、感情的に涙を泣く姿なんて見たことがなかったので。胸に熱いものを秘めた、魅力的な監督だなと改めて思いました」

――決勝で、注目の選手は？

「（悩んで）リバプールは主将のジョーダン・ヘンダーソン。バルサとの第２レグで１点目を取った後、ゴールに入ったボールを抱えて、センターサークルまで走っていた姿が印象に残っています。

　もちろん、プレーでは好守においてつなぎ役である欠かせない存在ですし、立ち振る舞いや戦う姿勢、すべてが素晴らしいと思います。目立つポジションではないですが、献身的なプレーや得点力もある。リバプールに欠かせない存在だなと痛感しました。

　スパーズでは、フェルナンド・ジョレンテか、ハリー・ケインか。CFのプレーヤーがキーになるのかなと。ケインが間に合う可能性もあるようなので（※インタビュー時）、スパーズにとってはここに入る選手がどれだけ踏ん張れるかで、周囲の攻撃的な選手たちが機能し、チームにいいリズムが生まれてくるはずです。

　あとはサイド対決も注目したいですね。リバプールで“覚醒”したといわれるアレクサンダー＝アーノルドと、スパーズのソン・フンミンが対峙する可能性も高いと思うので、ここのマッチアップが実現すれば、間違いなくゲームの展開を左右する対決になると思います！」



取材・文／熊 介子（サッカーダイジェストWeb編集部）