「日本との試合はいつも変にメラメラ感が出てしまう」
――女子ワールドカップが始まります。タイ代表(34位)のグループステージは、アメリカ代表(1位)、スウェーデン代表(9位)、チリ代表(39位)と同組です。
「厳しい組に入ったという認識でいますが、やってみないと分からないとも。メンバーの半分ほどは初出場した前回(2015年カナダ大会)を経験していますし、初戦にアメリカ代表と当たれることも皆ポジティブに捉えています。予選突破して番狂わせを起こしたいですよね」
――“タイサッカー界の神様”ティーラシン選手(ムアントン・ユナイテッド/昨季はサンフレッチェ広島に所属)の妹さんもメンバーに選ばれていると聞いています。
「はい。お兄さんに似てスラっとした、チーム随一のビジュアルスターです」
――タイ代表がグループステージを3位通過し、なでしこジャパンが1位通過と仮定すると、ノックアウトステージ1回戦(6月23日@ヴァランシエンヌ)で相まみえる可能性もありますよね。
「今までにも何度か日本代表と試合したことはあるのですが、ワールドカップでの対戦は別格です。日本人ですし日本を愛していますが、こればかりは別。日本との試合はいつも変にメラメラ感が出てしまうんですよね。タイをはじめ、東南アジアのサッカーも伸びてきているので、あまり舐めてほしくなくって」
――もし、なでしこジャパンと対戦することになれば、テクニカルスタッフから日本の情報を聞かれると思うのですが。
「何度も日本遠征や試合をしている選手の方が私よりも情報は持っていますからね(笑)。ただ相手がどうより己からですよ。試合前にはタイ風な辛いものを食べてモチベーションをグッと上げ、皆の闘争心に火を付けて頑張りますよ」
『バンコク発パリ経由東京行き』
日本に住む両親へは「日本へ戻ることはないと思って」と伝えてあるという。また昨年12月には、生涯の伴侶としてタイ人女性と結ばれた。新婚だが遠征やキャンプが続いて家へ帰れておらず、一緒に過ごしたのはまだ数日だけとおどけてもみせた。
そんな白木には夢があるという。それは2020年東京オリンピックへタイ代表トレーナーとして凱旋出場したいのだと。タイサッカー協会との契約は今年いっぱい、今回のワールドカップでより存在感を示して契約延長を勝ち得なければ、来年の東京行きも夢と消えてしまう。
契約書はただの紙切れ、明日突然職を取り上げられるかも知れない、一寸先は闇といっても過言ではない環境で日々戦い続けているのは選手だけではない。トレーナーも同じなのだ。在泰8年目、“侍トレーナー”の挑戦は止まらない。
■プロフィール
白木庸平(しらき・ようへい)
1985年生まれ、京都府出身。2012年にタイへ渡る。人を心地良くさせる京言葉と屈託のない笑顔がトレードマーク。タイに骨を埋める覚悟を持った彼に触った人間は何故だか応援したくなる、魅力ある漢である。
取材・文●佐々木裕介(フリーライター)
「厳しい組に入ったという認識でいますが、やってみないと分からないとも。メンバーの半分ほどは初出場した前回(2015年カナダ大会)を経験していますし、初戦にアメリカ代表と当たれることも皆ポジティブに捉えています。予選突破して番狂わせを起こしたいですよね」
――“タイサッカー界の神様”ティーラシン選手(ムアントン・ユナイテッド/昨季はサンフレッチェ広島に所属)の妹さんもメンバーに選ばれていると聞いています。
「はい。お兄さんに似てスラっとした、チーム随一のビジュアルスターです」
――タイ代表がグループステージを3位通過し、なでしこジャパンが1位通過と仮定すると、ノックアウトステージ1回戦(6月23日@ヴァランシエンヌ)で相まみえる可能性もありますよね。
「今までにも何度か日本代表と試合したことはあるのですが、ワールドカップでの対戦は別格です。日本人ですし日本を愛していますが、こればかりは別。日本との試合はいつも変にメラメラ感が出てしまうんですよね。タイをはじめ、東南アジアのサッカーも伸びてきているので、あまり舐めてほしくなくって」
――もし、なでしこジャパンと対戦することになれば、テクニカルスタッフから日本の情報を聞かれると思うのですが。
「何度も日本遠征や試合をしている選手の方が私よりも情報は持っていますからね(笑)。ただ相手がどうより己からですよ。試合前にはタイ風な辛いものを食べてモチベーションをグッと上げ、皆の闘争心に火を付けて頑張りますよ」
『バンコク発パリ経由東京行き』
日本に住む両親へは「日本へ戻ることはないと思って」と伝えてあるという。また昨年12月には、生涯の伴侶としてタイ人女性と結ばれた。新婚だが遠征やキャンプが続いて家へ帰れておらず、一緒に過ごしたのはまだ数日だけとおどけてもみせた。
そんな白木には夢があるという。それは2020年東京オリンピックへタイ代表トレーナーとして凱旋出場したいのだと。タイサッカー協会との契約は今年いっぱい、今回のワールドカップでより存在感を示して契約延長を勝ち得なければ、来年の東京行きも夢と消えてしまう。
契約書はただの紙切れ、明日突然職を取り上げられるかも知れない、一寸先は闇といっても過言ではない環境で日々戦い続けているのは選手だけではない。トレーナーも同じなのだ。在泰8年目、“侍トレーナー”の挑戦は止まらない。
■プロフィール
白木庸平(しらき・ようへい)
1985年生まれ、京都府出身。2012年にタイへ渡る。人を心地良くさせる京言葉と屈託のない笑顔がトレードマーク。タイに骨を埋める覚悟を持った彼に触った人間は何故だか応援したくなる、魅力ある漢である。
取材・文●佐々木裕介(フリーライター)