厚く高い壁を打ち破って歴史を塗り替えることへの喜び――。

日本がブラジルに勝つのは、ポーランドがドイツに勝つよりも難しいことかもしれないが、初勝利までに81年も待てない!! ちなみに初のブラジル戦(写真)から今年で25年が経つ。 (C) SOCCER DIGEST
長くブンデスリーガでプレーし、今シーズンよりバイエルンに所属するロベルト・レバンドフスキは試合前、「もしかしたら世界王者になったことで、ドイツにはスキがあるかもしれない」ということで勝機があると語っており、過去2戦で引き分けていたこともあり、チームだけでなくファンのなかでも、初勝利に向けて機運は高まっていたが、ついに歴史が塗り替えられた。
1933年の初対決から続いた未勝利の歴史。サッカーだけでなく、国の歴史においても因縁浅からぬ両国だが、ポーランドが最も勝利に近づいたのは74年西ドイツ・ワールドカップ。72年のミュンヘン・オリンピックで金メダルを獲得し、一躍サッカー界で注目される存在となっていたポーランドは、スピーディーかつ鮮やかなパスワークを武器に、快進撃を披露した。
西ドイツとは、決勝戦進出を賭けた2次リーグの最終戦で対峙。しかし不運にも、直前の大雨による悪コンディションによってポーランドのパスワークは封じられ、0-1で開催国の軍門に下った。この時、ポーランド人は「もしもピッチコンディションさえ良ければ……」と悔しさを隠せなかったという。
ポーランドは92年のバルセロナ・オリンピックで銀メダルを獲得したのを最後に、サッカー界のトップシーンから姿を消し、ライバルとの実力差は広がる一方だったが、今回、ついに悲願を果たした。自国で世界王者にいきなり土をつけたのは、まるで40年前の雪辱という感じにも見える――。
74年とは真逆で、技術でも組織でも勝る相手に、強い精神力で挑んでいった。まさに、ドイツの最新精密兵器に、屈強なポーランドの騎兵隊が打ち勝ったのである。
敗れた世界王者は、現地に駆け付けたサポーターが腹立ちまぎれに敵地のスタジアムのトイレを破壊すれば、メディアは「EURO2012準決勝でイタリアに敗れた忌まわしきワルシャワ・ナショナルスタジアムで、また悪夢を味わった」と報じるなど、さまざまな反応を見せている。
一方、歴史的勝利を飾ったポーランドは歓喜する一方で、アダム・ナバルカ監督が「記念の勝利だが、これを最後の勝利としないようにしなければ」と気持ちを引き締めれば、選手たちは今回の勝利を無駄にしないためにも14日のスコットランド戦(EURO2016予選)に気持ちを切り替えようと努めている。
最後にアジアに目を向けると、奇しくも14日は、89年の初対戦から過去10戦して勝利のないブラジル代表に日本代表が挑む。こちらは親善試合にすぎないが、厚く高い壁を打ち破って歴史を塗り替えることへの喜びは、ポーランドが今回味わったそれと何ら変わりはないはずだ。果たして……。
【写真で振り返る】過去10戦の日本対ブラジル戦
1933年の初対決から続いた未勝利の歴史。サッカーだけでなく、国の歴史においても因縁浅からぬ両国だが、ポーランドが最も勝利に近づいたのは74年西ドイツ・ワールドカップ。72年のミュンヘン・オリンピックで金メダルを獲得し、一躍サッカー界で注目される存在となっていたポーランドは、スピーディーかつ鮮やかなパスワークを武器に、快進撃を披露した。
西ドイツとは、決勝戦進出を賭けた2次リーグの最終戦で対峙。しかし不運にも、直前の大雨による悪コンディションによってポーランドのパスワークは封じられ、0-1で開催国の軍門に下った。この時、ポーランド人は「もしもピッチコンディションさえ良ければ……」と悔しさを隠せなかったという。
ポーランドは92年のバルセロナ・オリンピックで銀メダルを獲得したのを最後に、サッカー界のトップシーンから姿を消し、ライバルとの実力差は広がる一方だったが、今回、ついに悲願を果たした。自国で世界王者にいきなり土をつけたのは、まるで40年前の雪辱という感じにも見える――。
74年とは真逆で、技術でも組織でも勝る相手に、強い精神力で挑んでいった。まさに、ドイツの最新精密兵器に、屈強なポーランドの騎兵隊が打ち勝ったのである。
敗れた世界王者は、現地に駆け付けたサポーターが腹立ちまぎれに敵地のスタジアムのトイレを破壊すれば、メディアは「EURO2012準決勝でイタリアに敗れた忌まわしきワルシャワ・ナショナルスタジアムで、また悪夢を味わった」と報じるなど、さまざまな反応を見せている。
一方、歴史的勝利を飾ったポーランドは歓喜する一方で、アダム・ナバルカ監督が「記念の勝利だが、これを最後の勝利としないようにしなければ」と気持ちを引き締めれば、選手たちは今回の勝利を無駄にしないためにも14日のスコットランド戦(EURO2016予選)に気持ちを切り替えようと努めている。
最後にアジアに目を向けると、奇しくも14日は、89年の初対戦から過去10戦して勝利のないブラジル代表に日本代表が挑む。こちらは親善試合にすぎないが、厚く高い壁を打ち破って歴史を塗り替えることへの喜びは、ポーランドが今回味わったそれと何ら変わりはないはずだ。果たして……。
【写真で振り返る】過去10戦の日本対ブラジル戦