「関東大会は土日連戦なんです。試合間隔が24時間も空いていないこともある。そんな日程も問題だと思うのですが、そうなると連戦を経験していない選手たちは、ビックリするくらいに足が止まってしまったんです」
そこには練習量の問題もあったという。毎年、葛飾区内のグラウンド使用については調整会議で翌年の使用について取り決めがなされていたのだが、昨年までは週2回(グラウンドでの)の練習ができるよう確保するのが精一杯だった。
「葛飾区さんには、関東リーグに上がったら練習日を増やしてもらえそうな感じだったのですが、それこそ負けた翌日くらいに練習の回数を増やしてほしいとお願いに行きました。週2回の練習で関東に上がるのは本当に難しいという話をして、そこを理解していただいて練習日を増やしていただきました」
こうして厳しい日程に備えるべくトレーニング環境を整備すると同時に、指揮官には昨年途中から選手として加入した福西監督を招聘。その指揮官を岩本GMは「選手一人ひとりと向き合って、改善ポイントをちゃんと言ってあげられる指導者。現役を辞めてからも解説者として世界中のサッカーを現地で観ているので、今後Jリーグでやっても相当良い監督になると思います」と絶賛する。また「日本代表でバリバリ活躍していたのを見ているので、そこへのリスペクトが凄い」という選手たちとも、固い信頼関係で結ばれているようだ。
一方で、アマチュアとプロの違いや東京都リーグという舞台についても、「そこは、この2年経験してきた柴村(今シーズンはコーチ兼選手)がサポートしている感じです」と、バックアップにも余念がない。開幕戦のドローゲームを受けて「福西監督も試合後に反省はしていましたけど、やはり一つひとつこういうことを分かっていくしかない」と岩本GMも語っていたが、チームはすでに2連勝と、着実に軌道に乗りそうな気配を見せている。
また、オフの補強によって選手層も厚みを増し、チーム全体の力も上がっているようだ。「新しい選手も入りましたが、去年からやっている選手たちも力はあるので、福西監督もこれからは選手をあまり固定せずに状態の良い選手を使っていくという話をしています」と、リーグ戦での今後のプランも描かれている。
果たして、現役時代に日本代表で名を上げた指揮官が率いるチームは、ここからどんな戦いを見せていくのだろうか。東京都リーグ1部の舞台で、南葛SC旋風が吹き荒れそうな予感が漂っている。
(第3回に続く/次回は5月7日の配信予定です)
取材・文●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)
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