「過度の喜び」の定義とは? ルールを変えた山形ブラジル人FWのバズーカ・パフォーマンス

カテゴリ:Jリーグ

嶋守生

2019年04月17日

3月下旬にクラブへルールの変更が通達されることに

今季2得点のJ・バイアーノは、最前線でターゲットとしても機能。上位を走るチームに貢献している。写真:徳原隆元

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 これはこれで、昨年、4回も警告を受けなかったことがおかしくなるのだが、一応統一性があったというのが審判委員会の言い分のようだ。このバイアーノへの警告取り消しもないようで、ひとまずこの回答で納得するしかないのだろう。
 
 しかし可哀想なのは、パフォーマンスについてここまで配慮していたのに、今年になって突然「過度な喜び」とされてしまったバイアーノ本人だ。
 
 実は、ゴールパフォーマンスが「過度の喜び」になる対象範囲も曖昧だ。裸になる行為などは一律で警告の対象となるが、「過度なものか、そうではないのか」という判断自体はレフェリーの裁量に委ねられている。コーナーフラッグを抜いたら警告なのか、何をしたら挑発行為の対象になるのか、といった明確な線引きもこれまで特になかったのだ。
 極端な話だが、何をやっても「過度な喜び」という言葉でくくられてしまうと「はい」としか言いようがないのが現状だろう。
 
「今回は分かりやすい例。コーナーを抜いたとか抜かないとか、去年カードが出たか出ないかが混在していたことが一番の問題」(高山強化部長)
 
 特に今回の件では、結果的に試合ごとにジャッジが違ってしまっただけに、もっと早くから明確なラインが設定され、それが周知されていれば、警告は避けられたはずだ。
 
 ゴールパフォーマンスは、サッカー競技の華とも言えるもの。どの選手も思い切ってパフォーマンスができるよう、もう少し明確な基準を設けて欲しいと感じる一件となった。
 
 今回の件を受けて、3月下旬から4月上旬にかけて、Jリーグからは「ゴールやコーナーフラッグなどスタジアムにあるものを動かす行為が警告の対象となる」という内容が、各クラブへの通達されている。
 
 挑発行為かどうか、銃口の向く方向がどうかではなく、今後はコーナーフラッグを抜く行為自体が警告の対象になるようだ。
 
 バイアーノのバズーカ・パフォーマンスがルールを変えることになり、ようやく「過度の喜び」への線引きがひとつできたが、同時にバズーカ・パフォーマンスは封印されてしまうだろう。本人にもこのことは伝わっており「新しいパフォーマンスを考える」と話していた。
 
 その大宮戦以降、バイアーノのゴールは生まれていないが、彼の新パフォーマンスで何が飛び出してくるのかに注目だ。
 もちろん、あのバズーカ以上に迫力のある、それでいて警告を受けないド派手なパフォーマンスに期待したい。
 
取材・文●嶋 守生(フリーライター)
 
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