レジェンドの軌跡 THE LEGEND STORY――第47回・セードルフ(元オランダ代表)

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2019年04月04日

オランダ代表としてはタイトルに恵まれず…

大事な試合でのPK失敗が多かったのは、この96年の悪夢がトラウマとなったか……。代表では、スリナム系選手とその他の選手との対立が表面化したり、自身は自分本位過ぎると糾弾されるなど、ネガティブな思い出は少なくない。 (C) Getty Images

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 マドリーの38年ぶりの世界一にも尽力したセードルフは、同じオランダ人のフース・ヒディンク、その後任のジョン・トシャックといった指揮官の下では力を発揮できずに序列は低くなり、99年12月にカルチョの国へ舞い戻り、インテルの一員となる。

 しかし、2年半の在籍期間で見せ場は少なく、インテルが長く首位を走りながら最終節で涙を飲んだ2001-02シーズン、26節に宿敵ユベントスとの一戦(2-2)で目の覚めるロングシュートなどで2ゴールを挙げたことが、唯一のハイライトシーンだった。

 そのため、02年夏にフランチェスコ・ココとの交換トレードでミランに加入した際、セードルフに期待するミラニスタは多くなかった。というより、リバウド、アレッサンドロ・ネスタというビッグネームの加入で、26歳のオランダ人の存在は完全に霞んでしまったのだ。

 しかし、シーズンが半分も過ぎないうちに、セードルフは中盤に欠かせない存在となっていた。試合を読む力に長け、レジスタを務めるファンタジスタのアンドレア・ピルロをジェンナーロ・ガットゥーゾとともにカバーしながら、時にトップ下として試合の主役にもなるなど、試合を重ねるごとにその存在感を増していった。

 そしてCLでは、このシーズンにユベントスとの決勝に進出。イタリア・サッカーにとって歴史的なオールド・トラフォードでの一戦、両者スコアレスで突入したPK戦で、セードルフは2人目で登場して失敗したが、合計スコア3-2でミランは勝利し、彼は「異なるチームで3度のCL優勝」という初の偉業を成し遂げた。

 ミランでは、パオロ・マルディーニ、ネスタというカリスマ性に富んだリーダーが存在するなかで、セードルフは“物言わぬ”ピッチ上の牽引役として君臨。カルロ・アンチェロッティ監督から絶大な信頼を得た彼は、自身の役割を確実に果たしながら、周囲のスター選手を操っていった。

 03-04シーズンに初のスクデットを獲得。この頃にトレードマークだったドレッドロックヘアを切り落としたセードルフは、プライベートではロベルト・カルロスとともにバイクチームを運営することでも注目を浴びていたが、それがピッチ上での献身的なプレーを妨げることはなかった。

 06-07シーズン、ミランはCLで通算11度目となる決勝へ駒を進め、2シーズン前に前半で3点をリードしながら追いつかれ、PK戦で涙を飲んだ因縁の相手であるリバプールに、2-1でリベンジ。セードルフは定位置の左サイドハーフで先発出場し、自身4度目の歓喜を味わった。

 この年の冬には、日本でのクラブワールドカップで自身2度目の世界一を達成。準決勝の浦和レッズ戦では68分にこの試合唯一のゴールを自ら挙げ、決勝では南米王者ボカを4-2で下し、4年前(トヨタカップでPK戦の末に敗北…セードルフはここでも失敗)の雪辱を果たした。

 このように輝かしいタイトル歴に彩られたクラブでのキャリアとは対照的に、94年12月14日のルクセンブルク戦でデビューを果たしたオランダ代表では、残念ながらひとつのコンペティションも勝ち取ることができなかった。

 初のメジャーイベントとなったEURO96では準々決勝フランス戦のPK戦で唯一失敗、4位入賞を果たした98年フランス・ワールドカップでは3試合の先発出場に止まり、自国開催(ベルギーと共催)EURO2000では、出だしの躓きの要因として出番を失った(チームは準決勝敗退)……。

 自身最後の大会となったEURO2004は、ヴェスレイ・スナイデルの負傷で代わりにレギュラーポジションを手にして奮闘したが、開催国ポルトガルに決勝戦進出を阻まれた。2008年に最後の代表キャップを刻んだセードルフの最終成績は、87試合出場11得点というものだった。

 クラブに話を戻すと、ミランでは10-11シーズンに2度目のリーグ優勝を果たしたのが最後のビッグタイトルとなり、12月夏に退団。同年7月に夫人の母国であるブラジルに渡り、ボタフォゴでプレーを続けていたが、14年1月にミランからの要請を受け、現役生活にピリオドを打って監督転身を決意した。

 しかし8位に終わり、欧州カップ出場権を得られなかったことで解任の憂き目に遭い、18年2月にはスペインのデポルティボの監督に就任したものの、ここではチームの2部降格を回避できず、シーズン終了とともに退任。現在は、同胞クライファートをアシスタントに迎え、カメルーン代表を率いている。

 6月にエジプトで開催されるアフリカネーションズ・カップに向けて準備を進めるセードルフは、ここから監督のキャリアを輝かしいものとすることができるか。

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