「日本サッカー界に恩恵をもたらすようなクラブを作ることは、中長期的視点では絶対に必要」(村井満チェアマン)

運営規模はJリーグで最も大きい浦和だが、名実ともにリーグを牽引する存在には至っていない。ドイツにおけるバイエルンのようなクラブは、いずれ現われるだろうか。(C) SOCEER DIGEST
村井 リーグを育てる道筋は国によって様々です。先日ベトナムに行って、Vリーグ・アウォーズに出席したんです。そうしたら国民的歌手が4人くらい出てきて、日本の紅白歌合戦とJリーグ・アウォーズを一緒にしたようなイベントを、民放3局が生中継していました。嘘か本当か分からないですが、Vリーグのあるクラブのオーナーに視聴率はどのくらいいくかと聞いたら、「3局合計で100パーセントいくよ」と。
国民的なアイドルが4人も出て、サッカー自体も人気がある。やっぱり、そういう仕掛けをして、サッカーファン以外の人にも露出をして、イングランドのプレミアリーグだけではなく、どうやったらVリーグを観てくれるようになるかということを一生懸命に考えていますね。
こうして東南アジア各国と交流させてもらい、いろいろとヒントをもらう一方で、彼らに決定的に足りないと感じるのは指導者です。現在、日本には370人のS級ライセンスを持つ指導者がいるのに、国内には51のプロクラブしかない。それなら、そうした才能のある指導者をアジアに送り、その国のサッカーのレベルを上げることが、ワールドカップのアジア予選のレベルを上げ、日本代表にとっても最終的にはプラスになるのではないか。
また現在、インドネシアのイルファンが甲府に、昨年はベトナムの英雄レ・コンビンが札幌に在籍しましたが、Jリーグで助っ人となれる選手がたくさん育ってくれば、我々にとっては将来的に大きなビジネスチャンスになります。
越後 アジアに目を向けるのは、現状を考えれば当然の流れですね。それに対して、Jリーグはいろいろと動いているけど、各クラブはどうなんですか?
村井 その面に対する取り組みは、それぞれのクラブの状況によって違います。力を入れているクラブは我々が言わなくても、例えばタイの農協と組んで、地域の田舎町でサッカースクールをやっている。そういうクラブもあります。
越後 僕が言いたいのは、マンチェスター・Uやアーセナルは自分たちの判断でプロモーションをして、クラブに直接お金が入る。リーグには入らない。クラブが独立して、競い合いながらお金を稼いでいる、ということなんです。
僕は先日、マンチェスター・Uにテレビの取材で行ったんですが、ビックリしましたね。カメラを回すのは禁止、絵(映像)は持っているから買いませんかと。Jリーグの場合、絵の権利は本部が持っていて、各クラブは持ってないですよね? そこがイングランドと日本の、プロリーグの基本的な違い。だからビッグクラブは積極的な投資をする。スター選手を獲得しないと商品が売れないから。
日本のクラブの場合は、大物を連れて来てもだいたい本部にお金が収まり、分配金をもらうしかない。だから日本にビッグクラブはないし、創設から21年が経って各クラブの予算規模も似てきましたね。
村井 仰るなかで同感なのは、やっぱりビッグクラブという輝く存在を作ることは必要だなと。ドイツにおけるバイエルンのようなクラブを作り、そこが代表チームのエンジンにもなっていく。日本サッカー界全体に恩恵をもたらすような輝くクラブを、J1の中に作っていくことは中長期視点では絶対に必要でしょう。
一方で、Jリーグはまだ創設から21年ですから、大きな幹を高く伸ばそうと思ったら、広く根を張らなくてはいけない。全国にJリーグのクラブを拡げ、定着させることも引き続きやっていく必要があります。
国民的なアイドルが4人も出て、サッカー自体も人気がある。やっぱり、そういう仕掛けをして、サッカーファン以外の人にも露出をして、イングランドのプレミアリーグだけではなく、どうやったらVリーグを観てくれるようになるかということを一生懸命に考えていますね。
こうして東南アジア各国と交流させてもらい、いろいろとヒントをもらう一方で、彼らに決定的に足りないと感じるのは指導者です。現在、日本には370人のS級ライセンスを持つ指導者がいるのに、国内には51のプロクラブしかない。それなら、そうした才能のある指導者をアジアに送り、その国のサッカーのレベルを上げることが、ワールドカップのアジア予選のレベルを上げ、日本代表にとっても最終的にはプラスになるのではないか。
また現在、インドネシアのイルファンが甲府に、昨年はベトナムの英雄レ・コンビンが札幌に在籍しましたが、Jリーグで助っ人となれる選手がたくさん育ってくれば、我々にとっては将来的に大きなビジネスチャンスになります。
越後 アジアに目を向けるのは、現状を考えれば当然の流れですね。それに対して、Jリーグはいろいろと動いているけど、各クラブはどうなんですか?
村井 その面に対する取り組みは、それぞれのクラブの状況によって違います。力を入れているクラブは我々が言わなくても、例えばタイの農協と組んで、地域の田舎町でサッカースクールをやっている。そういうクラブもあります。
越後 僕が言いたいのは、マンチェスター・Uやアーセナルは自分たちの判断でプロモーションをして、クラブに直接お金が入る。リーグには入らない。クラブが独立して、競い合いながらお金を稼いでいる、ということなんです。
僕は先日、マンチェスター・Uにテレビの取材で行ったんですが、ビックリしましたね。カメラを回すのは禁止、絵(映像)は持っているから買いませんかと。Jリーグの場合、絵の権利は本部が持っていて、各クラブは持ってないですよね? そこがイングランドと日本の、プロリーグの基本的な違い。だからビッグクラブは積極的な投資をする。スター選手を獲得しないと商品が売れないから。
日本のクラブの場合は、大物を連れて来てもだいたい本部にお金が収まり、分配金をもらうしかない。だから日本にビッグクラブはないし、創設から21年が経って各クラブの予算規模も似てきましたね。
村井 仰るなかで同感なのは、やっぱりビッグクラブという輝く存在を作ることは必要だなと。ドイツにおけるバイエルンのようなクラブを作り、そこが代表チームのエンジンにもなっていく。日本サッカー界全体に恩恵をもたらすような輝くクラブを、J1の中に作っていくことは中長期視点では絶対に必要でしょう。
一方で、Jリーグはまだ創設から21年ですから、大きな幹を高く伸ばそうと思ったら、広く根を張らなくてはいけない。全国にJリーグのクラブを拡げ、定着させることも引き続きやっていく必要があります。