BブロックもAブロック同様に激戦区だ。福岡入団内定の192センチの大型CB三國ケネディエブス（３年）と、札幌入団内定のドリブラー・檀崎竜孔（３年）が攻守の軸を担う青森山田を筆頭に実力校が顔を揃えた。

　Ｊユース勢に競り勝って今季のプリンスリーグ関東を制覇した矢板中央、注目の２年生エース・西川潤を擁するインターハイの準優勝校・桐光学園なども頂点を獲るに相応しいチームだ。

　だが、この山の本命は大津と見る。湘南入りが決まっている福島隼斗（３年）とU－18代表の吉村仁志（３年）がCBに構え、守備陣は簡単に崩れない。攻撃陣もU－18代表の快速アタッカー水野雄太（３年）と187センチの大型FW大崎舜が、福島のロングフィードから鋭いカウンターを仕掛けてゴールを陥れる。堅守速攻のスタイルは、一発勝負との噛み合わせが悪くない。１回戦で相まみえる桐光学園との大一番を制せば、青森山田を押しのけて悲願の初優勝に手が届く可能性がある。
 
　AブロックとBブロックに強豪が固まった一方で、Cブロックは本命不在の混戦模様となった。選手権を制した経験を持つチームは皆無で、唯一のプレミアリーグ組である米子北も最下位で来季のプリンスリーグ中国への降格が決定。実力差はほぼなく、どこが勝ち上がっても不思議ではない。そのなかで注目したいのは今大会注目のFW久乘聖亜（３年）を擁して夏のインターハイで４強入りを果たした東山、U-17代表歴を持つCBの高橋祐翔（２年）に注目が集まる米子北だ。ともに地力を持っており、両者が激突する２回戦を制したチームは初の戴冠も見えてくる。

　一発勝負を考えれば、フィジカルの強さに定評がある日本航空や、注目の２年生守護神・佐藤文太が安定感のある守りを見せる仙台育英も期待が懸かる。躍進を遂げ、４強入りを掴むだけのポテンシャルはあるはずだ。
 
　Dブロックは他とは異なり、絶対的な本命がいる。昨年の準優勝校である流経大柏だ。今年はインターハイの出場を逃したが、総合力は頭ひとつ抜けている。鹿島で来季からプロのキャリアをスタートさせるCBの関川郁万（３年）は空中戦の強さに磨きが掛かり、10番を背負う熊澤和希（３年）は高質なテクニックに加えて最終学年を迎えた今季は勝負強さを備えている。

　１年生の台頭も目覚ましく、最前線の森山一斗、ボランチの藤井海和、GKの松原颯汰はセンターラインを担い、レギュラーとして早速チームを支えている。経験の浅い彼らを支える３年生も充実。左サイドで変幻自在の仕掛けを見せる芹田悠真や、今季途中からキャプテンを務めるFW左部開斗が存在感を示しており、タレントには事を欠かさない。

　インターハイ得点王の小森飛絢（３年）が所属する富山一、松本入団内定の山本龍平（３年）を中心に手堅いサッカーを見せる四日市中央工も対抗馬になりうるが、順当に行けば流経大柏がファイナルの切符を手にすると見る。強豪が軒並み反対の山に入っており、相手が強豪校との戦いで疲弊している状況も考えれば、大前元紀（現大宮）らが成し遂げた選手権制覇を11年ぶりに果たすチャンスはあるはずだ。

文●松尾祐希（サッカーダイジェストＷＥＢ編集部）