川口能活が引退会見で語った“余力”を残して辞める理由と相模原での3年の意味

カテゴリ:Jリーグ

小須田泰二

2018年11月18日

「自分にとっての川口能活はこの1、2年なんです」

12月2日にはホームスタジアムで引退セレモニーが行なわれる。会見の席では、望月社長から出場の可能性があることもアナウンスされた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 振り返れば、川口のサッカー人生はつねに挑戦の連続だった。
 
 日本代表での世界挑戦の実績は誰もが知るところだが、2013年にJ1のジュビロ磐田から戦力外通告を受けてから、4度のワールドカップを経験してきたレジェンドはずっと引退という危機感と背中合わせにいた。その後、J2のFC岐阜を経て、3年前にJ3のSC相模原へ。相模原での3年間はベンチを温める日々が多くなったが、それでも日々、ストイックに自分を追い込んできた。このままでは終われない――。その気持ちをモチベーションに、川口は川口らしく最後まで走り続けた。
 
「自分が代表、あるいはJ1、J2とプレーしてきたなかで、J3でプレーするというのは自分のなかでの挑戦でした。そのなかで適応するための努力はしてきたし、もちろん厳しい状況もありましたけど、サッカーができる、サッカーが好きというのを再認識できた、プレーできる喜びを実感できた。そして選手、あるいはスタッフの絆。カテゴリーが下がるほど、スタッフも少ないし、ボランティアの数も多い。そういうところを目の当たりにして学ぶことができた。出場機会も減っていき、自分が選手として納得のいく結果を得られたかどうかは疑問に思うところもあるかもしれないが、自分が当たり前に思っていたことを、また大切さというのを知ることができた。非常に濃い経験ができた3年間でした」
 
 この日詰め掛けた報道陣は67社130人。その様子を会見前に見て思わず涙があふれ出たという。
 
「これだけ多くの方が来てくれるとは思っていませんでした。自分にとって川口能活というのは、この1、2年なんです。自分が代表やJ1でプレーしていたときの川口能活は過去のもの。僕のためにこれだけの方が集まってくれた。プレーを続けてきて、大変なことや辛いことのほうが多かったが、自分がプレーしてきたなかで今日が最も喜ばしい日になりました」
 
 川口は最後に心の内をこう語り、ふたたび涙を拭うと、大きな拍手を送る報道陣に対して大きく一礼して会見場を後にした。
 
 花束贈呈の際に登場した清水商高時代の先輩でもあるSC相模原の望月重良社長から、川口へ最後のプレゼントが用意されていた。「社長の口から絶対とは言えませんが」と前置きしたうえで、「ホーム最終戦に出場するかもしれません。期待してください!」とポロリ発言。12月2日、J3リーグ最終節の鹿児島ユナイテッドとのホームゲームに、川口がピッチに立つ可能性があることを示唆した。その日は試合後に引退セレモニーも予定されているが、現役生活最後の日、川口は我々にどんなメッセージを送ってくれるのか。“炎の守護神”と呼ばれた彼ラストプレーを目に焼きつけたい。
 
取材・文●小須田泰二(フリーライター)
 

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