神戸で「シャビ化」したイニエスタ。バルサ時代とは異なる役割とは?

カテゴリ:Jリーグ

白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

2018年10月22日

間延びしてしまうとまさに諸刃の剣。

リージョ監督は戦術がまだ浸透していないことを認めながらも、諦めるつもりは毛頭ない。写真:サッカーダイジェスト写真部

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 リ―ジョ監督が試合後の会見で、「私たちが目指しているボールを支配し、ロストしてもすぐに奪い返すことで、常に相手コートで戦うサッカーが、少なくとも70分あたりまではできていた」と語った通り、神戸が“攻撃回数を増やすことで守備機会そのものを減らす”というバルサ式のスタイルを志向しているのは間違いない。

 そのサッカーを誰よりも知るイニエスタが、攻撃を方向付ける司令塔役を担うというのは、理に適っているようにも見える。バルサ時代のように組み立ての段階から前に張らせても、神戸の現陣容ではボールが送り届けられる回数が少なくなるという事情もあるかもしれない。

 とはいえ、課題は少なくない。試合中にイニエスタやリージョ監督が選手にポジショニングやパスについて何度も指示を出していた通り、ボール保持率を重視する新スタイルはチームとしてまだまだ未浸透。また、藤田が「前半のようにコンパクトで良い距離感を保てていれば、イニエスタもチームも生きる。でも、後半のように足が止まってチームが間延びしてしまうと機能しなくなる」、リ―ジョ監督が「(前からのプレスを続けるので)体力的に難しいマネジメントになる。精度も上げていかなければいけない」とコメントした通り、間延びすると途端に機能しなくなる諸刃の剣の戦術でもある。

 それでもリージョ監督は「唯一私たちができることはやり続けるだけなので、精度を高めていくことを続けていきたい」と語るなど、“シャビ化”した司令塔イニエスタを中心としたバルサ式のポゼッションサッカーを捨てる気は毛頭ない。

 直近5試合は1分け4敗と結果が出ず、降格圏まで勝点4差の12位と苦しい位置にいるが、残り4試合でイニエスタと神戸はどう修正してくるか。興味深い。

取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
 
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