「対応力」のキーワードにも合う。得点力、パス、レシーブ。プレーエリアは左右真ん中どこでもいい。そして、敵陣に押し込んだ状況、自陣に下がった状況、なんでもござれ。誰とでも、何処でもセッションできる、南野の汎用性。価値がある。軸に据えやすい選手だ。当然、香川に比べればミスは多いが、そもそも特徴がまったく違う２人なので、今後のポジション争いは楽しみ。
 
　逆に、南野がダメだったのは守備。ハードワークの意識は強く、味方が空けたスペースのカバーも献身的に行っている。これは良かった。ところが、４－４－２の守備でファーストディフェンスを行なうポジションとして、プレスのスイッチを入れる作業が出来ていない。組織的プレッシングではなく、気持ちプレスになりがちだ。
 
　たとえば16分、南野の気持ちプレスは、キックフェイント一発でかわされ、右サイドへのサイドチェンジを許してしまった。そこから仕掛けるパナマの突破を、青山が止めてファウルを取られ、フリーキックを与えている。これは南野の責任。無謀に飛び込みすぎて、左サイドに絞り込もうとした日本のプレッシング全体が外されてしまった。
 

　コスタリカ戦でも、２トップの空回りプレスは散見された。それに比べるとパナマ戦は多少改善されたが、それでも南野のプレスは周りとのタイミングが合っていない。所属クラブの戦術の違いかもしれないが、食いつきすぎて、簡単に外されるシーンが目立つ。香川の場合、この辺りの追い込みは、より巧妙だ。真綿で絞めるように機を伺うプレッシングに長けている。この点で南野は改善しなければならないだろう。
 
文●清水英斗（サッカーライター）