●技術指導の面で、力を入れていることは?
「先のワールドカップでも感じましたが、やはり個の力が大事だなと。とくにドリブル。仕掛ける力のある選手の活躍が目立ちました。それからモドリッチのミドル(※アルゼンチン戦)も印象的でした。子どもたちにも、そういったすごいプレーを何度も見て、意識しようと話しています」
●こだわりの練習方法はありますか?
「リフティングを重点的に練習しています。続ける回数が増えた時の達成感、ボールを止める、運ぶなどの扱い方も含めて、リフティングを通して基礎を教えています。もちろん、個々、チームの課題を克服したり、子どもたちの状況に応じて変化をつけていますが、リフティングはなるべく多く取り入れるようにしています」
●リフティングを練習に多く取り入れているクラブさんはめずらしいのでは?
「リフティングは努力すればするほどできるもの。努力の成果が数字として出やすいのが特徴です。努力してできるようになった時の達成感を子どもたちに学んでほしい。がんばることの大切さを伝えていけたらと思います」
●フィジカル強化のトレーニングも行なっていますか?
「いまの時期は個の運動能力を伸ばすことがテーマになります。スピードやアジリティなどをアップするため、なわとびをやったりもしますね」
●なわとびですか? それもめずらしいですね。
「いまの子たちは、テクニックやスキルはあるけど、本来、日々の遊びの中で身につけるべき、根本の運動能力が低下しています。なわとびは一例ですが、普段サッカーで使わない筋肉を刺激することで運動能力の向上を図っています」
●手応えみたいなものは、ありますか?
「子どもたちが良いゲームをした時に感じますね。こういうサッカーをするんだ、と発見もあります」
●代表が思う良いゲームとは?
「子どもたちが良い表情でわかります。真剣さが表情に表われるじゃないですか。下手でも勝ちたいという気持ちを前面に出してプレーしていたりとか、そういう時って、試合を観ている方も引き込まれていくんです。うちには4年生が5人しかいないので、2、3年生も一緒に4年生を相手に試合をするんですが、もう、ボコボコです。でも、この前、もしかしたら勝てるかもしれない、という雰囲気の試合があったんです。最初は普通に観ていた保護者の方たちも、試合が進むにつれて前のめりになって。最後は皆が立ち上がって拍手していました」
●伝わってくるのがあったのでしょうね
「一生懸命なプレーがそうさせたんです。感動しますよね。自分たちで考えて、必死になってポジションを修正したり、ゴールラインギリギリでクリアしたり。そういうプレーが自然に生まれる試合って、やはり心動かされます。その試合はなんとか勝ちましたけど、もし負けていたとしてもすばらしいゲームだった。間違いなくそう思います」
●最後に日本のサッカー界の未来について聞かせてください。
「ありきたりかもしれませんが、サッカーが文化になってほしいです。みんながスパイク持ってるとか、日常にサッカーの会話があったりとか。渋谷のスクランブル交差点も、ワールドカップの時だけじゃなくて、普段からユニフォームを着ている人が集まっている。そんな風になってくれたらなあと」
●指導者については?
「私の思いや考えをいろいろと話させていただきましたが、育成や強化のアプローチ方法は人それぞれ。いまもいろいろな指導論や戦術論がありますが、答えはひとつでなくても良いと思っています。ただ、サッカーは楽しいもの。子どもたちをサッカー嫌いにさせてはいけない。それだけは思いますね」
設立から3年半と、まだ新しいクラブだが、中川さんの育成に携わる者としての、まっすぐな思いは伝わってきた。子どもたちの未来とともに、中川さんと三郷スポーツクラブアスリートの成長も楽しみにしていきたい。
三郷スポーツクラブアスリート
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