将来の夢はサッカー選手! 子どもたちのなりたい職業の上位に、サッカー選手がランキングされるようになって久しいが、いまもその人気は衰えておらず、都心を中心にサッカースクールの数は増え続けている。その指導スタイルやメソッドはさまざまあるが、目指すところは一緒で、選手として、人として成長させてあげたい、という思いだろう。指導者(運営者)はそのために、どんなことを考え、どんなことを実践しているのだろうか? そして求められる人材は? 現場の方たちのインタビューを通して探っていく。
「本当の勝負は15歳~18歳。そこに行くためのベースをどれだけつくってあげられるか、それが我々のするべきことだと思っています」
●フットボールライフ 金町ジュニアサッカースクールはどんなところですか?
「サッカーがすべてではないサッカースクールです。サッカーは半分。残りは挨拶や礼儀、マナーや感謝の気持ちを持つことを伝えたいと思っています」
●技術向上以外の部分を重視されているのですね?
「挨拶や礼儀は、スポーツをやっていくうえでも、人間として生きていくうえでも必要なことですから。古いことのように思われますが、当スクールでは、目に映るように、耳に聞こえるように子どもたちに伝えています。実際に体験に来てもらうとその熱量っていうのを感じてもらえると思いますよ」
●指導者として、スクールの代表として心がけていることは?
「一人一人にちゃんと向き合う、一人一人を比べずに見るってことが重要かなと思います。もちろん難しいですけどね」
●では、技術指導においては何を重視していますか?
「①球際、②攻守の切り替え、③オフザボールの動き、④声(コーチング)ですかね。ドリブルやパスはもちろんですが、判断力を鍛えることが大切だと思っていて、そのためには姿勢や目線についても、アドバイスしています」
●レベルや目標も違う子たちが集まるジュニアの指導は難しい仕事だと思うのですが?
「確かに目指すところは個々で違います。たとえばチームでレギュラーになりたい、トレセンに合格したい、ジュニアユースのセレクションに合格したい、それとも、もっと先にある舞台なのか。僕の考えとしては、本当の勝負は15歳~18歳。そこに行くためのベースをどれだけつくってあげられるか、それが我々のするべきことだと思っています。受け渡し役ですね」
●特に東京はサッカースクールの激戦区でもありますが、やはり近くのスクールは気になるものですか?
「周りに目を向けるんじゃなくて、自分に目を向けること。選んでもらえるように自分たちが努力していくしかないです。選手を取った、取られたなど、いろいろな話は耳に入ってきますが、子どもたちにサッカーの楽しさだったり、マナーの大切さだったりを伝えていく立場としては、そういうことはしたくないです。どこそこに所属したからといって、その子のサッカー人生が約束されるわけではないわけで、結局は自己満足の道具でしかない。そんなことより裾野が広がること、地域がスポーツ(サッカー)で活性化されることのほうが大事です。誇りをもって仕事をしたいですからね」