【W杯 特別寄稿】「ティブロン」メッシの脅威とアルゼンチンの限界

カテゴリ:国際大会

ディエゴ・ラトーレ

2014年07月05日

全知全能のフットボーラーが輝きを放つために。

チームの戦術的欠陥を覆い隠し、メッシはワールドカップ優勝を果たせるか。 (C) Getty Images

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 詰まるところ、メッシがメッシたるプレーを見せるには、信頼できる仲間の存在が不可欠なのだ。したがって指揮官は、どうしたら彼が幸せにプレーできるかを考える必要がある。アレハンドロ・サベーラ監督はまさにその点を念頭に、メッシ中心のチームを作り上げた。すべては全知全能のフットボーラーが輝きを放つために、それを極限とも言えるまでのレベルに高めてきた。むろん、その頼りのエースがつまずけばチームがつまずくリスクを覚悟の上でだ。
 
 はたして、メッシという特定の個に極端に依存したこの戦い方で、アルゼンチンはワールドカップを勝ち取れるのか。わたしはその瞬間に立ち会えることを願ってやまないが、この偉大なミッションを成し遂げれば、メッシの存在はサッカー界のオリンポスの高みへと導かれることになるだろう。
 
 アルゼンチンは中盤が間延びする弊害で、プレスが機能せず、最終ラインがずるずる下がるという、優勝を狙うチームには致命的とも言える戦術的欠陥を抱えている。
 
 とはいえ、我々アルゼンチン人は、メッシの魔法が何とかしてくれるのではないかという淡い期待を、捨て去れずにいる。ここは一世一代の勝負に挑む天才のプレーを、目を凝らして見守ろうではないか。
 
分析:ディエゴ・ラトーレ
取材・構成:ロベルト・マルティネス
翻訳:下村正幸
 
ディエゴ・ラトーレ
現役時代は「マラドーナ2世」と呼ばれた名手で、ボカ・ジュニオルスではガブリエル・バティストゥータと強力FWコンビを形成した。アルゼンチン代表として1991年のコパ・アメリカ優勝を経験。イタリア、スペイン、メキシコのクラブを渡り歩き、2006年に現役を引退。解説者に転身し、テレビのコメンテーターやコラムニストとして幅広く活躍中だ。的確な分析力で、アルゼンチンのみならず南米全土で高い評価を受ける。スペインの高級紙『エル・パイス』にも定期的にコラムを寄稿する。69年8月4日生まれ。
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