【W杯 伝説への挑戦】後半ロスタイムに見せたメッシの「魔法」

カテゴリ:国際大会

チヅル・デ・ガルシア

2014年06月23日

イランの堅守を破れず、苦しむチームを救う一撃。

後半ロスタイムに劇的な決勝ゴールを奪ったメッシ。苦しい戦いを強いられたチームを救った。(C) Getty Images

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「チビがランプを擦ったおかげで勝った」
 イラン戦の終了直後、アルゼンチンのGKロメロは控室に引き上げる前に、取材陣に向かって開口一番にこう答えた。チビとはメッシのことで、ランプとは「千夜一夜物語」に出てくる魔法のランプを意味している。
 
 後半のロスタイムにメッシが決めた決勝弾は、まさに「魔法」だった。11人全員が自陣ゴール前で壁を作るイランは、明らかに0-0のまま逃げ切りを図ろうとしていた。それまでゴールが奪えず、苛立ちの表情を見せていたメッシはしかし、冷静に、完璧なフォームでシュートを放った。そして、ボールがゴール左隅に突き刺さった瞬間、アルゼンチンのサポーターからは大歓声が巻き起こり、メッシを嘲笑していたブラジル人の観客は黙り込んだ。
 
「とても難しい試合だった。相手が自陣に引き込んでしっかり守ったために、スペースを見出すのに苦労したし、暑さにも苦しめられた。まあ、暑さは言い訳にならないけどね」
 
 初戦のスタート時に採用された5-3-2が機能せず、第2戦はメッシが望んでいた4-3-3の布陣で臨んだものの、イランの選手たちはパスコースを巧みに寸断。イランのケイロス監督は前半、ガゴを徹底的にマークさせ、メッシ、イグアイン、アグエロ、ディ・マリアの連係を遮った。
 
「前半は何度かチャンスを作れたけど、フィニッシュに結び付けられなかった。タイムアップ寸前には、全員がゴールを求めて前線に上がってきていたね。そこで運よく得点が決まった。チームに安心感をもたらせて本当に良かった。やっぱり勝利が一番大切なことだ。引き分けていたら、ナイジェリア戦でのプレッシャーがとても大きくなっていたからね。グループリーグ突破という最初の目標を達成できて嬉しいよ」
 
 誰もが終了間際のメッシの美しいシュートに酔いしれ、メッシの「勝つことが大切」という言葉にうなずいていたが、いつまでもメッシの魔法のランプだけに頼っているわけにはいかない。なにせ2戦続けてヒーローとなったのが、メッシとロメロだったのだから。
 
 前半からすでにイグアインとアグエロの動きが鈍く、ミスも多かったので、「メッシを素早くサポートしながら攻撃する形が作れないなら、サベーラ監督はもっと早い時間帯にラベッシとパラシオを投入して敵陣でのスペースを広げる工夫をすべきだった」というのが国内メディアの見解だ。
 
「思いどおりにゲームを組み立てられていないのは、僕たち選手が一番よく分かっている。ミスを少なくして、相手にとってもっと危険なプレーを展開できるようにしたい」
 
 次のナイジェリア戦の前日に、27歳の誕生日を迎えるエースは、こう語って2連勝にも気を緩めない。果たしてメッシは、チームメイトたちの良好なサポートを受けて、さらにゴールを重ねられるだろうか。そして、アルゼンチンはグループFを順当に1位で通過できるだろうか。
 
文:チヅル・デ・ガルシア
 
――◆――◆――
 
 ネイマール、リオネル・メッシ、クリスチアーノ・ロナウド――。自他ともに認めるブラジル・ワールドカップの主役候補の3人だ。彼らが挑むのは、ただし今大会の主役の座という限定的な栄誉ではないだろう。
 
 いずれもサッカー史に名を刻みうる特別な才能であり、ブラジルのネイマールはペレ、アルゼンチンのメッシはマラドーナ、ポルトガルのC・ロナウドはエウゼビオという、それぞれの国のレジェンドを超えうるカリスマだ。
 
 ブラジルの地で、いわば伝説に挑む3人の天才。その闘いに密着してお届けしよう。

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